クリミア半島をめぐるロシアの強行編入とウクライナの混乱。
領土問題や民族問題の微妙なところをついてきた今回の出来事は、多民族国家が多い世界を刺激した。
ほとんどの国が、批判するかコメントを控えるようにしているのは、同じことを自分の国の少数民族などがしでかしやしないか恐れているためだろう。
そんな中、欧米やロシアのメディアが注目したのが、日本のネット界でちょっとした祭りとなっている動きだ。
クリミア自治共和国のナタリーヤ・ポクローンスカヤ検事である。
美人すぎる検事総長、として話題になっている。
今回の一件でロシアが、「ロシア検事局の同自治国の臨時検事」として任命したこの女性。ウクライナの検事出身で、同自治国の検事総長を務めたという御年33歳とも34歳とも言われる人だが、その会見での様子が、あっという間に萌えキャラ化されてネットに次々と投稿された。
美人すぎる、という表現は最近良く使われるものなので置いとくとしても、実際美人。特に会見の時は、髪を後ろでアップにした感じで、目が大きく、やや下膨れ感のある子供っぽい顔をしているところが目立った。地位としても若い方だろうが、それ以上に、30代でお子さんがいるようには見えない。それで硬派な制服を着込んでいたから余計にインパクトある。本人は日本で話題になっていることに対して、容貌よりも仕事の成果を評価してほしいとコメントしたそうだが、容貌にもいくらか自信はあるのだろう。
ロシアやウクライナには美人が多いようなイメージがある。ウクライナの元首相のティモシェンコも、年増ではあったけど美人で知られた(三つ編みを頭の上で輪っかにしていたヘアスタイルで有名だった)。最近まで今回の政変で倒れたロシア寄りのヤヌコーヴィチ政権によって投獄されていたようだが、釈放されまた政界に戻る気配だ。ティモシェンコは、大和田秀樹の麻雀漫画『ムダヅモ無き改革』に登場し萌えキャラ化していた。
ロシアでもポクローンスカヤ検事総長は人気があるそうだが、日本の場合、クリミア問題が、政治的や民族的にほとんど無関係なだけに、この盛り上がり方は欧米メディアには唐突感があるのかもしれない。
もちろん、盛り上がっているのは今のところネットの一部だけなんだけども、なんでも萌えキャラにして、それがあっさりと社会に受け入れられる日本の国情が、欧米からは面白がられているところもある。それどころか、最近は「萌え化」自体まで欧米に浸透し始めて、同じようなことをする人々が現れ始めている。中韓などが昨今日本攻撃のネタとして「日本の右傾化・軍国主義」という批判を展開しているが、日本の萌え化が欧米の一般メディアでも取り上げられる状況ではズレがありすぎて、変な意味、中韓の主張が薄れているところはあるかもしれない。
クリミア問題は、歴史的背景があるとはいえ、国際政治的には大きな波乱要因を抱えているし、少数ながら犠牲者も出ている。今後悪化する可能性もある。一方でそんな深刻な状況をわかっていながら、人物のキャラで萌え化をする人々も世の中に入る。お固い識者の中には、それを批判する人もいるだろうが、こういうところも人類社会の多様性ということなのかもしれない。

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