ベネッセの情報漏洩の問題。
その個人情報を名簿業者から大量購入して営業活動をしていたジャストシステムが叩かれている。
同社は違法なものとは知らなかった、というが、そもそも情報屋から購入した時点で、それがどういう種類の情報か知っていたはず。でなければ買わない。つまり、教育関係の顧客情報、それも子供がいて通信教育などをさせている家庭のリストだから買ったのである。でなければ、単なる各戸別の家族構成リストであれば、そこから営業上必要な分を選別せねばならず、そんな情報をカネで買うくらいなら自分で作成したほうがいい。
目的のある顧客情報が数百万件分も情報販売のためにわざわざ作られるのはコスト面でリスクが大きいから、どこかの企業で作成された顧客情報が漏れたと見るのが普通だろう。
出処が明らかなら違法とわかるし、出処が不明なら、違法ではないかと疑われる。出処が明らかなほど情報の価値に意味が出てくるのだから、ジャストシステムは知っていて購入したと考えるほうが理屈に合う。
そして、よりにもよって、教育ビジネスにとってもっとも致命的なアンモラルな方法をとったことが世間に広まってしまった。ジャストシステムの教育方針に対する信頼は地に堕ちたということであり、道徳面だけでなくビジネス面でも、リスクの大きさが予想できなかったのか、という意味で信頼を失った。
また、リストにあった個別の家庭にテレアポだのダイレクトメールだのすれば、不審がられるのは目に見えている。それで顧客が増えると考えるほうがおかしい。社員のレベル、というか視野の狭さが異常だ。
が、世の中にはそういう営業活動をする企業はネットとか不動産とか結構多い。一体どれだけうまく行っているのやら。それこそコストの無駄だろうに。
ジャストシステムは、安易に情報を買った時点でアウト、である。言い訳をするだけ傷を深める。
一方、情報が漏れたベネッセの方も、どういう管理をしていたのか問題になる。不正競争防止法の営業秘密に該当するかどうかは、情報の内容はもちろんだが、それが技術的に秘密管理ができていたかによる。専門子会社が担当し、さらに孫請けの外部に委託させていた、というのも、サーバーなど、コスト面などでそうするほうが良かったのかもしれないが、外部委託も場合によっては自社で管理するより割高になることもある。社員が委託するだけでなにもしないと、社員という財産価値、知的財産面でも低レベルな会社ということになる。
なにより顧客から見れば、そんな重要な情報を人任せにしていたのか、という信頼の欠如につながる。最大2700万にも達するという顧客から賠償責任を求められると、データを競合他社に取られたという単にビジネス上の不利益だけでなく、大きな金銭的負担を強いられることになる。
ベネッセも、ジャストシステムも、被害者面しているが、安易なビジネスモデルと、目先の利益追求で、見事に失敗した典型となった。それぞれの企業のどこのレベルで決定された案件なのかはわからないが、現場の末端社員が決めたことではあるまい。中間管理職が、役員クラスの了承のもとにやっていただろう。だが、責任を負わされるのは、こういう企業に限って現場の社員だ。
いずれにせよ、教育で稼ごうというのであれば、モラルというところが大きな意味を持つことは考えないと、何かあった時の反動も大きい。

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