全国の主要な漁業団体が、燃料高騰を受けて、一斉休業を行った。
漁船の燃料はA重油が多いが、原油高騰により、5年で3倍に跳ね上がった燃料代により、出漁に出ても赤字になるため、やむを得ない処置に踏み切った、と言うことだ。
赤字になる理由のもう一つとして、魚が捕れなくなっている、と言うのもある。
世界中で和食、寿司などが普及し、また国内でも特定の種類の魚の消費が爆発的に増加したため、売れると思って乱獲が進み、水産資源は激減している。
魚獲量の減少と燃料高騰による水産業へのダメージは、日本だけでなく、世界中で共通している。
日本は自国近海や遠洋漁業で獲れる分以外に、世界中から輸入しているため、影響は必至だ。しかも、他の国も少なからず水産資源は主要な食糧であり、そのため、日本の商社などが外国で買い付けしようとして、他の国に競り負ける例も相次ぐようになっている。輸出を控える国も出てくる中で、輸入依存状況がひどくなるばかりの日本は、のんびり構えてはいられない。
一方で、贅沢になるばかりの食文化に慣れ浸りきった日本人には、近未来の食糧不足、飢餓などと言うことは想像もしない。
人間を、自然生態系から発展し、それにつながった生命として考えると、増えすぎて生態系のバランスを崩した人類という生物が、消費過多によって数が減る現象の一端が始まった、とも考えてしまう。
ついつい、人間と自然は別物、と考えがちで、いまのエコブームも、その観点からの「上から目線」的なものだが、元々人間は自然の一部。自然の関係性を壊すようなことをすれば滅亡するのは当たり前だ。
人類の数が大幅に減少すれば、自然界の回復も進むかも知れない。
しかし、人間に依存する生態系もあることを考えると、人間もろとも滅亡する生物は多数出てくるだろう。
人間のエゴイズムを引いても、やはりそうなるわけにはいかない。
燃料代の補填など、漁業関係者への対策を採る必要に迫られているが、本腰を入れて、先を見据えた対策を採るのならば、完全養殖などによる資源確保、電気推進などの新たな船舶技術の開発、山林維持も含めた河川・近海の環境回復、などといった、人間にしかできない方法も積極的にとるしかない。

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