今朝未明の岩手北部沿岸を震源とする地震。最大震度6強で、モーメントマグニチュードは6.9。マグニチュードは7.2と、阪神大震災とほぼ同じだった。
死者はなく負傷者が140人ほど出ている。
負傷者の多くは、家具などが倒れるなどして負傷したものとみられる。
建造物の被害は壁や天井が一部落下するなどはあったが、家屋の倒壊はなく、他に奥入瀬渓谷などで道路沿いの一部に落石などがみられた程度だった。時間帯が夜中だったことも被害が抑えられた理由と見られる。
だが、エネルギーから言えば相当な大地震だ。同じ規模の阪神大震災も社会が動き出す前の早朝に起こって、あれだけの被害を出した。人口密度の違いを引いても、今回被害が小さかったのは、揺れの周期が理由と考えられている。
今回の地震の周期は0・1〜0・2秒程度の極短周期震動だった。
このクラスの震動だと、大きなものほど影響を受けにくくなる。
全半壊25万棟に達した阪神大震災の場合は、周期が1秒ほどあり、この周期の揺れは建造物に大きなエネルギーを与えるため、かなり大きなビルでも壁や柱が破壊され、中間階層が圧壊したりする。これをキラーパルス(破壊的強震動)と呼ぶ。
これよりさらに長周期の震動になると、逆に壊れなくなるが、その代わり、非常に長時間にわたって揺れるようになる。そのため、すぐに壊れない代わりに、徐々に影響が強まり、破壊が起こったり、エレベータなどが停止したりする。
今回の地震、東京でも揺れがあったが、長周期振動だった。関東平野が堆積層に覆われているため、相対的に柔らかい地面が震動をゆっくりと増幅し、大きくしていくのだ。
長周期振動による被害も、当初は一部の学者が唱えているだけで、学界では無視されていた。それが十勝沖地震で石油タンクが爆発炎上したのが、長周期振動で蓋が落下したためとわかり、それからにわかに注目を浴びるようになった。観測もされ、新潟県中越地震では東京で超高層ビルのエレベータが停止するなどの現象も確認された。
今でこそ、長周期振動は定説となったが、最近のことなので、超高層ビルにその対策が採られているものは少ない。
地震にも様々な種類がある。
海底でゆっくりと大規模な地滑りが起こると、沿岸では非常に弱い揺れしかないのに大津波が襲う場合もある。
チリ地震やスマトラ大地震、四川大地震のように、地震と言うよりは大地殻変動のほうが正確という巨大なものもある。もはや人智のレベルではない。
しかし、人事を尽くさねばならない。
天変地異が、災害になるのは、人が関わるからだ。天災は9割方人災であると言ってよい(全く人の手が加わってない自然で地震による崩落や落石、倒木に遭う、と言うものでもない限り)。
今回のように、人的被害が比較的軽微であるというのは、これまでの多くの人の努力と、偶然が重なったことにある。
研究を積み重ね、経験を生かすことによって、必ず起こる将来の大震災に備えるのが、天災大国日本に住む人間の必須条件だ。

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