28日に新潟県新潟市内の田んぼで、トキがいるのを住民が目撃した。
このトキは、9月に放鳥された10羽のうちのメスの1羽で、佐渡にいたのが渡ってきたらしい。
この結果、消息を絶った1羽、動物に襲われた死んだと見られる1羽を除く8羽の中で、メスの4羽はすべて海を渡ったことになり、佐渡にはオスの4羽だけが残った。
これで、カップルが成立する可能性は低くなり、放鳥したトキによる繁殖は限りなく、無くなってしまった。
元々、放鳥する時点では、佐渡島内でうろうろするのだろうと考えられていた。田んぼの農薬を減らしたりと言った活動も佐渡島内だけで行われていた。
ところが、メスのトキは半年で全て海を渡った。もっとも遠くへ行ったものは、350km以上離れた長野県にまで飛んでいる。
雌雄のある動物の大半は、オスよりメスの方が強い。生命力も高く、行動力もある。子供を産む必要があるので、体力もあり、産育の場所を確保しなければならないからだろう。オスを選ぶ条件も、大体そのためにある。
実は人間も、社会的制度でオスの方が強いだけで、生命力その他は、メスの方が上である。なんだかんだと最終的に交際相手を選ぶのは女性だ。男は弱い(笑)。
トキもメスの方が活動的で、より生存しやすい場所を探してあちらこちらを移動しているものと思われる。佐渡に残ったオス達は、とりあえずふられたわけである。メスが佐渡に戻ってカップルが成立する可能性もなくはないが。
もっとも、絶対数が少ないことが問題。全体で100羽程度、放鳥されたのは10羽。天敵もいるし、人間の生産する化学物質の影響も大きい。そう言う意味では、繁殖以外でも生存に非常に厳しい。といって、下手に餌付けでもしたら、野生復帰は出来ない。
もっと数を増やさなければならないことが、最大の難点なのだろう。
かつては日本中にいたトキを復活させるのは大変だ。
人間は自分でしでかしたことの後始末に、いつもエネルギーを使っている。多分、地球だけでなく、広い宇宙の中にいるであろう無数の生物の中でも非常に珍しい種類である。

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