幼年部という部は荒川合気会には無い。昇級審査の対象が小学生以上なのだが、未就学の子ども達から、審査を受けたいという希望が出た時、会として小さな子ども達の励みになるならということで、規定対象外の審査を創設した。だから合気道全体のオフィシャルなものではない。それを分かりやすく、幼年部と呼んでいる。その幼年部会員がこのところ滝野川道場に増えた。その年齢の子ども達の指導はなかなか難しい。指示をしても自分の行きたいほうに行ってしまう…。が、それがほんの少しずつ変ってくるのを見るのは、まんざらでもない。 この子ども達の存在は、他の年長の子ども達にも影響をお及ぼそうとしている。年長の子ども達に小さな子の稽古相手をさせて動きを教える体験をしてもらう事にした。ほとんど例外なく、子どもは自分より小さな子どもの面倒を嫌がらずに見るものらしい。そういう行動の効果は、おそらく予想以上のものだろう。
合気道は子どもに教えるには、とても難しいものだ。しかもそれが、幼年部の子どもとなると、一筋縄では行かなくなる。相手をしている年長の子ども達も、苦労しているようだ。子ども達の指導方法を、再度見直して、再認識する。そんな方向の影響を、おとなにも与えつつある。
ある日、夜の稽古の時、幼年部の一人が無口になったので、どうしたと聞いてみると『ねむい』と言う。じゃ、少し寝ておいでというと、道場の端へ行ってうつ伏せにうずくまった恰好で寝てしまった。別の日の稽古で、おもむろに私のところへ来て、『あのね、早くかえりたいの』と、ちょっとしんみりして言う。急にうちの事を思い出したのかもしれない。『もうちょっとだから、がんばろうよ』と言うと、『うん』…。なにかと話題の尽きない今日この頃だ。

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