稽古日誌（少年少女部）

右と左というのをいつごろ習ったのだろうか。
あまりに昔のことでまったく覚えていないが、小学１年生になった頃にはもう知っていたような気がするが、記憶ちがいだろうか。

稽古のとき『左足を前に出して』というような事をよく言う。
そのとき半数の子どもは間違っている。
その状態は、幼稚園生から小学校中学年くらいまではあまり変わらない。

でたらめでやっても当たる確立は５割なので、誰もわかっていない可能性もある。
そのつど『胸にマ−クの付いている方が左！！』などと、何かと関連付けて覚えさせようとするが一向に覚えない。

最近の子どもは忙しそうだから、
『習う事を全部覚えるなんてやってらんないよ！』
と言う声が聞こえそうな気もするが。

だからって野放しって訳には行かない。

そこで、今日宿題を出した。

『今度の稽古までに、右と左を覚えて来い！！！』

でも今頃はもう、そんな宿題が出た事自体を忘れてるか。

飛鳥中学の道場をお借りできるようになって、日曜日に稽古が休みという状態がなくなり、大変感謝している。

その道場は剣道の稽古でも使うので、畳の上げ下げが必要だ。

これは子どもにやらせるには丁度いい作業だと内心喜んでいたが、学校の授業で柔道をやるので、たたみは敷いたままにしてくださいという事になった。
ちょっと残念。

だが、掃除ならできる。
雑巾はこちらで補充するとしてとりあえずあったのをお借りして、雑巾がけをやった。
光道場でのときも感じたが、子どもたちの雑巾がけはなんだか楽しそうに見える。
これから稽古をするという空気を作るのにも効果があるかもしれない。
足腰を鍛えるのにも役に立つ、という話もあるらしい。

姉妹で稽古に来ている二人がいる。
もう何年か来ていて、初めの頃は小学生だった二人が一緒に道場に入ってきて、稽古が始まるまでの間、よくじゃれあっていたものだった。
ふたりとも中学生になった最近はちょっと違う。
別々の中学に進んだ二人は、学校のある水曜日はもちろん直接ウチから来るはずの日曜日も道場には別々に入ってくる。
道場で二人が話をしているのをこのごろ見かけない。
この二人に何かあったのだろうか。
それとも、もう二人でじゃれあう年齢ではなくなったという事なのか。見ていて気になるが、女性部の稽古に移ってしまったこともあって、声をかけるタイミングがつかめずなかなか確かめる事ができない。
先日この二人がそろって見取り稽古（見学のことを道場ではこう呼ぶ）、という日があった。５メ−トルほど離れて座っていた二人に会話は無かった。ちょっと寂しい光景だったが、これは成長過程の子どもの変化なのだろうか。

新しい年の稽古が始まった。
初稽古の日いつものとおり道場に来ためいめいと挨拶をしたが、ほぼ半数はちゃんと新年の挨拶だ。
『あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。』
子どもがする挨拶にしては、長い。
考えながら言っていた子は教えてもらったのを思い出しつつだったのだろうか。
挨拶が身につくのは意外と難しいもののようだ。
みんな挨拶の言葉は言うし、それなりの動作もする。しかしほとんどの子どもは、単なる習慣としての挨拶に見える。だから座りながら頭をさげて、むにゃむにゃと何か言って、バネのように跳ね上がって駆けていく子どももいる。
それでいいのだろう。習い性となるという。挨拶をするのが気分のいいことだというのは、そのうち必ず感じるようになるだろう