ようやく審査が終わって気持ちに余裕ができてきたので、年に2〜3度やる観察力をつけるための稽古をやった。
少年部ではしない技を見せて、観察して記憶して再現する、そういう稽古だ。
今回は両手取りで四方切り、横面打ち五教投げ。
例によって見ただけで動き方を観察してすぐに再現できる子どもは一人もいない。小学校低学年位だと、3Dで動きを捕らえて記憶すると言う機能は、まだ発達してきていないのだろう。だが高学年でもその機能を持っているだけでは、なかなか自分の動作として再現するのは難しい。それに類する動きを沢山経験して、それがデ−タ−として頭の中に残っている事が必要なようだ。
それは大人でもそうそう変わりはない。
五教投げの時、五教の押さえ技は何度かやった事があるので、横面打ちを受けて相手の手を取るところまで見せて
『ここまで見てこの技がなにか、分かる人』
と聞いてみると、横面打ち五教という答えを期待したが、一人も手が挙がらない。
この辺が微妙なところで、分からないから手が挙がらないとは限らない。手を上げて指されてみんなの前で答えるのいやだ…という事もあるからだ。
案の定、粘って聞くと何人かは手が挙がった。
そんな風に経験したことを思い出してこの技を見ると、初めての動き方も何とか自分のものにする手がかりができる。そういう積み重ねをする事がさらに難しいものに発展していく土台を作る。合気道に限らずおおむねそういう風に進んでいくのだろう。それには、積み重なるまでこちらが根負けしない事が外せない条件だ。しかもその積み重ねが、いつでも自分で壊せるものであるべきだと思うが、これはまったく別の難しさだ。
この稽古の課題としてやるものも、あまりにも難しくて取り付く島がないようなものは子どもの興味を刺激しない。何とかできそうで、やってみると良く分からない…そんな自分の身体で解くクイズのような稽古で、観察力がつけば面白い稽古になると思うのだが…。

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