10月の審査後、宿題となっていることがあった。
少年部で合格保留になった子どもがひとりいて、任されたその対処の事だ。
保留と言うのは、昇級の免状は出ていたのだが内容的に注文が付いていたので、それなら不合格でなはいのでしょうかと言ったところ、こちらで対処してよし、という事になっていたのだ。
なので、だめだった部分の補強稽古をして追審査をするつもりで稽古を進めていた。
その追審査の実施がこの前の日曜日だった。
審査の判定は道場長にお願いしたのだが、大人の方の稽古も止めていただいて、道場全体で見守る事になった。
その状況に本人はさすがに緊張したらしい。
『せんせ-、少年部だけでやりたい・・・』
こっそり言ってきた頬が紅潮している。
『大丈夫、いつものようにやればいい』
そんな会話があって審査が始まった。
審査後の稽古では、出来ていないと注文の付いた技を中心に稽古をしてきたのだが、そんな中では本人からはそれほどの切実感は感じなかった。子どもの受け取り方はそういうものなのだろうと思っていたのだが、どうも稽古時間以外のところでも練習をしていたような雰囲気があった。それを感じれば、昇級保留にした意味は十分にある。
その成果が出たのか、合格を頂いた。
不合格になったとき確かに子どもはがっかりするが、すぐそのあとの反応は例外なく『やっぱだめだったか』と言う。出来なかった事は本人が一番よく分かっているという事だろう。それでも合格すると当然嬉しいだろうが、同時に『なんだ、出来なくても合格するじゃん』と思うだろう。そんな例がいくつか見えると、審査はその信頼を失ってしまう。
そんな生ぬるい審査にしないためにも、ハ−ドルは超えてもらわなければいけない。
結果合格で、まあ、やれやれである。

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