今回国が発表した耕作放棄地の数字を見る前に、まずは今年6月8日の知事定例記者会見での冒頭の知事発表から見てみよう。
川勝知事「静岡県では平成21年度から当時12,000haありました耕作放棄地、これを再生するということを決めまして、取り組んでまいりました。そして、平成26年度は1年間で291haが再生されまして、
平成21年度からの累計で2,613haの耕作放棄地を再生いたしました。平成26年度までの耕作放棄地再生目標は2,600haでございましたので、これを達成したということです。」「これをあえて発表項目に入れましたのは、
先週末、静岡朝日テレビの方でちょっと誤解があってですね、静岡県下に12,000haもの耕作放棄地があるという中身の報道がなされました。これは情報のそれぞれのやり取りに不備があったということで、今週初めに静岡朝日テレビの方はこの内容を簡潔にまとめた報道をしていただきまして、静岡朝日テレビ、今日来ておられるでしょうか、きちっとした対応をしていただきましてありがとうございました。」「私どもは12,000haもともと全部耕作地に変えるつもりでいましたが、それが不可能であることも今分かっています。ですからますます困難な所を耕作地に変えるためにだんだんと伸び率が低くなっているわけですが、それは数字としてはですね、
数千haの耕作放棄地があるということで皆さま方もまた報道ができるかと存じますけれども、その実態に対しましてよく取材をしていただいて、正確な報道をこれからもぜひ、していただきたいというふうに思う次第であります。
」
これは、今年6月4日の夕方に静岡朝日テレビが耕作放棄地が増えていると特集で報道したことに知事が激怒し、翌日の放送で平成26年度までに2,613ha解消したという県の実績をアピールする内容を追加報報道してもらったたことを受けての会見である。
知事にとっては、数少ない実績のアピールポイントである耕作放棄地の解消について、ケチをつけられた、という思いが強かったのであろう。
実際、県議会においてもこれまでたびたび耕作放棄地解消については全国で銅メダル銀メダルの実績だなどとその成果を強調してきたのであるからなおさらである。
ところが、蓋を開けてみたら、何と静岡県の耕作放棄地は増えていたのである。