フレンチレストランで、ライブを聴きながら飲む・・・、という夢のような夜が叶ってしまった。
しかし最初に言うと、それは叶いやすい条件が揃っただけの事だが。
漣のスタッフ兼ピアニストの
まゆちゃんが、漣に良く来るフランス人シェフ・エリックのお店でライブをやるというのだ。
まゆちゃんの「激烈グッドモーニング!」はぜひ観てみたかったし、エリックのフレンチも食べてみたかったのだ、一網打尽にするチャンスである。
ダンナなど会社を休んで床屋にまで行ってきた。
とても楽しみな夜だったのである・・・。
しかし席はもうほぼ予約で埋まっていたようで、私達が入店したのはオープンと同時の6時である。
貸し切り状態で料理をゆっくり食べ、まゆちゃんの演奏を聴き、モミー氏の歌を聴く。
贅沢な時間である。
1時間もすると席はもう満席に近い状態になり、ライブの方も盛り上がってきた。
美味しい料理にお酒、音楽。
酔いが回ってくるにつれ、何だかとても幸せな気持ちになってくる。
「幸せだなぁ〜・・・。」このセリフが出るという事は、酒が回ってきた事を示す。
その時、店のドアが開いて、男性がふたり入って来た。
それが誰かと分かる前に私は、何だかとても懐かしいような、故郷に帰ったような、田舎のかあちゃん的な思いがよぎったのだが、果たしてそれは、スーさんと松井さんであった。
フレンチレンストランでまさかのスーさんの登場である。
さっきまで気取って幸せ気分に浸っていたが、途端にいつものテンションになってしまう。
スーさんもスーさんで、いつも通りあの飄々とした感じで勝手に私達の隣の予約席に座り、「すぐ帰るから。」とビールを注文した。
この時の事を振り返ると、ダンナも私と全く同じ思いであった。
「何だか懐かしくて、凄く安心した」。
スーさん達はすでに2軒回ってきたあとであり、もうゴキゲンであった。
久しぶりにスーさん節を聞いたが、相変わらずである。
「あのさぁ、イーちゃんさぁ、かぶとむしかぶとむし。」
「え?カブトムシ??」
「そうそう

かぶとむしはどうなの??ムフフフ。」
ダンナはビートルズが好きなのでその方面の話かと思ったのだが、すぐに
「あ、間違えた、でんでん虫だ。でんでん虫ー。アハハハハ〜♪」
で、
でんでん虫。
その間違いもおかしかろうが、でんでん虫って音がもう可笑しくて爆笑だ。
で、スーさんが言いたかった事は「エスカルゴを食べませんか?」という事だった。
じゃあ皆で食べますか、と言うと「オレはいい。俺は食べない。」と真顔でキッパリ言った。なんじゃそりゃ。
そういえば、月イチでコンスタントに練習していた一中バンドだが、年が明けてから音沙汰がなかった。
ダンナが聞くと、「ん、冬の間はお休み。あったかくなったらやろうね。」と言った。
一中バンド、冬眠に入っていた・・・。
まぁこのところ色々重なっていたので助かるっちゃ助かるが。
軽い気持ちで「社長〜〜、なんかおごってくださいよぉ。」と言ったらスーさん、本当におごってくれた、4500円のワイン・・・。
何だか申し訳なかったです・・・、人のいい人間を酔わせて騙す詐欺みたい・・・。
ダンナはしきりに「老後の面倒はみます!」と言っていたが、「喪主は任せてください!」は聞こえていただろうか・・・。
スーさん達は松井さんのイケメン息子を呼び出し、嵐のように去っていった。テーブルに静寂が戻る。
しかし、心の静寂は戻らなかった。
すっかりダンナは酔い、「さっき言った事」も忘れる始末だ。
ということで、早めの帰宅となった。
お陰で私は二日酔い知らずだが、ダンナは完全にグロッキーである(笑)

0