今日は、ちょっと嫌な話をしなければなりません。
中西部のある町で起きた事件。
その日、ボーダーコリー/ダルメシアンミックスの”げんぶ”君は、お庭の、二重になったフェンスを飛び越え、くぐり抜け、フェンスの外に出てしまいました。楽しく外で遊ぼう…と思ったのかどうかわかりませんが、その近くには、最近引っ越してきたらしい見知らぬ人々がいたので、ちょっと吠えてみたりしたらしいんですね。
その住人たちは何を思ったか、911(日本の110番119番にあたる緊急番号。ちなみに火事も事故も番号は同じです)に通報しました。ほどなく駆けつけたポリスは、車から降り、ドアを閉める間も惜しむといきなり、げんぶ君に向かって2発、発砲したようです。(警察側からのレポートでは証言が食い違っています)
・・・結果的に、幸いげんぶ君の命には別状がなかったものの、2発のうち1発が前脚に命中、関節を砕かれてしまいました。その後の手術で、今のところは温存していますが、今後、前脚を切断しなくてはならないかもしれず、その確率は50%50%ということです。
げんぶ君が銃撃されたのは、
自分の家の敷地内だったという事実。その警官が何故、攻撃してきたわけでもない、吠えているだけの犬を銃で撃つ必要があったのか、何故、威嚇や捕獲、いやそれ以前に、その家の住人に確認しようともしなかったのか、全く納得がいきません。
実はこの同じ町で、げんぶ君事件の2週間後に、更に痛ましい事件が起きています。飼い主の不在中、やはりフェンスを抜けてしまったシャーペイミックスの女の子Taterちゃんが、自宅の前でくつろいでいたのを通報され、ポリスに、車でフェンスのある空き地まで追い込まれ、更に1時間もポリスカーで追いかけ回されて疲れ果てた挙げ句に、座り込んだところを至近距離から射殺されたのだそうです。これも目撃者の証言と警察側の声明が食い違っているのですが、目撃者の話による詳細は、読むのが辛いほどでした。飼い主は外出先から帰ったら犬がいなくて、探していたところに警察が来て、首輪とタグを置いて帰ったそうです。
一体どうなっちゃっているんでしょう。
Taterちゃんの件では、通報があったのは事実なのですが、その通報は「茶色いピットブル
(闘犬としてブリードされ、闇の闘犬市場でギャンブルに使われるために様々な方法で人工的に攻撃的な性格に作られた犬種。どう猛なため、飼育を禁止している自治体も多い。私はこのピットブルの存在自体が人間の罪だと思う)が通行人を脅かしている」というものだったのに、ポリスは黒のシャーペイ/イングリッシュブルドッグのミックスであるTaterちゃんを見つけると、追いかけ回して、ついに射殺してしまったのでした。
げんぶ君は撃たれた上に、町の「
危険指定動物」に公式認定され、外出にはいつもマズル(口輪)の装着が義務づけられてしまいました。もうすぐ2歳になるげんぶ君、飼い主さんに保護された子犬の頃から、赤ちゃんだった娘さんたちと一緒に育ち、同居の先住犬3頭を始め、
一度も誰にも噛みついたことなどない犬だといいます。
既に、新聞やテレビ、ラジオのニュースなどでも取り上げられているこの事件ですが、今後、どのように解決していくのか、気になります。警察側は、あくまでも妥当な処置だったとコメントしているようですが…
このげんぶ君のオーナーさんがyoutubeに出している画像とコメントを読ませてもらいましたが、とにかく、飼い主側と警察側のレポートが食い違いすぎているのです。個人的には警察のレポートがおかしいとの印象を受けています。
守ってくれるはずの警察が自分のうちの庭で自分の犬に発砲…もう一体どうしたらいいんでしょう。
この件で、頭から「アメリカではこうなんだ」とは決して思わないでほしいのですが(本当にいろいろな国が集まっているくらい地域によって何もかもが違います)、こういうことも起こりうるのがまた、アメリカなのだなあと考えさせられました。うちの噛み犬なんか、その町ではあっという間にポリスに殺されてしまうのかもしれません…

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