日本語の授業中、プライベートレッスンで1対1なので一人の生徒さんにとことんつきあえるのは良いことなのだけど、今日はちょっと困ってしまった。
「改めて、どうしても気になることがあるのでじっくり教えてほしいのだけど」
と切り出されて、気軽に「何ですか?」と聞いたところ…
「jiという音は『し』にテンテンと『ち』にテンテンとどうやって使い分けるのか」
と。さらに
「『す』にテンテンと『つ』にテンテンの使い分けも教えてください」
って。
もう生徒さん、「今日こそ疑問解決!」って感じでメモを取る姿勢で私の答えを待ってるんです。
限られた語彙(まだまだ初級)の中では普通、「何を教えるか」と同じくらい「その段階で何を
教えないか」というのが大切とされていて、そのために
綿密に組み立てられた教科書の通りに文法を積み上げて教えていくのですが…正直言って、文字を教えるための訓練は私、一切受けたことがございません!(きっぱり)
小学1年生が悩むところの「くっつきのは(わ)」「くっつきのを(お)」なんていうのはまあなんとか、Particle(助詞)という英単語を使って切り抜けたものの、実を言うと、なぜ「ありがとお」ではなくて、「ありがとう」と書くのか、というのも未解決の問題なのであります。
「前の文字が、あいうえお表の【お段】の時、【う】は【お】という発音になる」
と説明はできるのだけど、「じゃあ、どうして最初から「ありがとお」と書かないのですか?という疑問にはもうお手上げです。大体、まだ初級の初級だから、説明に使える日本語もものすごく限られているし。
で、【じ】と【ぢ】の違いに戻るわけだけど、基本的にはテンテンを付けない、元の言葉によるもの…ですよね?缶詰とかお小遣いとかは、もともとが【詰める】【遣う】だから、ほら【つ】にテンテン。
でも、鼻血(はなぢ)の時はそれで説明が付くけど、地面(じめん)の時、【地】という文字は大地(だいち)の地なのに、何故【しにテンテン】になるのかは、私にもわかりません。…というようなことを限られた語彙の日本語と限られた能力の(悲)英語でグルグルと考え…プチパニック
私がどうやってその場を切り抜けたのかと言うと…
日本人でも間違ってる人、いっぱいいるから!(^◇^;)
・・・orz・・・いいのか、これで。(良いわけないでしょう)
更に続けて「ミラーさん」とか「ビジーさん」(どちらも教科書の登場人物)のときはどうして「ミラア」とか「ビジイ」さんではなく音引きになるのか。「ああ、田中さん」は「あー田中さん」ではなく「ああ」だと、何故日本人は区別できるのか!?
カタカナだったら基本的に音引きよー、と言っちゃうのはあまりにも無責任?でもひらがなではあまり音引き使わないですよね?「ええ、そうです。」と書くけど「えー、そーです。」と書いたら全然違う印象になるし。
これを全くの外国語として習ったら「えー、そおです。」になっちゃってもしょうがないというか…。
これはきっと、
その段階で突っ込んで教えてはいけない領域にうっかり足を踏み入れてしまったことになるんでしょうね。あー、どおしよお。
本線の文法積み上げの方は頗る順調なものの、こっちの分野のつまずき(あ、これも【つく】なのに【すにテンテン】だわー)が痛いです。
国語が得意だったなんて…もう言えないなあ。
そういえば、テンテンで思い出しましたが、
我が家のセミリンガル君、ウーは日本生まれで6歳まで日本で育ちましたが、言葉の発達が比較的ゆっくりで、特に苦手な発音がたくさんありました。
小さい頃は、よく
KYOさまにいじめられていた(笑)ものです。
KYOさま 「ウー、今日はどこに行くの?」
ウー 「あのねっ、やちにくやさん!(((≧∇≦)))」
(翻訳:焼き肉屋さん)
KYOさま 「何だって?ウー、ドコに行くって?」
ウー 「やちにくやさん行くの(((≧∇≦)))」
KYOさま 「ふーん、ウーは何を食べるの?」
ウー 「やちにくっ!(((≧∇≦)))」
KYOさま 「なんだって?何を食べるって?」
ウー 「あのね、やちにくっ!(((≧∇≦)))」
KYOさま 「もういっかい言って!」
ウー 「うん、やちにくっ!(((≧∇≦)))やちにく食べるのっ!(((≧∇≦)))やちにくっ(((≧∇≦)))」
KYOさま 「え?」
ウー 「やちにくっ(((≧∇≦)))」
・・・KYOサマしつこいし・・・応える方もしつこいし・・・
その後しばらくして無事、「き」が言えるようになったウー、次なる挑戦はサ行でした。「さしすせそ」がことごとく「はひふへほ」になってしまう。
「あのひゃー、うーひゃー、おはひみ、あんまりふちやないの。」
(翻訳:「あのさあ、ウーさあ、お刺身、あんまり好きじゃないの。」これを即座に理解できていた私ってバイリンガル?)
最後に残った難関は「し」でした。幼稚園年長になったある日、一人つぶやくのです。
ウー 「あのさあ。ウーさあ、【ひ】って言えないんだよね。」
私 「【ひ】って言ってるじゃない」←重々承知の意地悪
ウー 「ちがうよ、【ひ】じゃなくて
【ひ】って言えないんだってば。」
私 「ちゃんと【ひ】って言ってるよ。」
ウー 「【ひ】だってば!【ひ】じゃなくて【ひ】!」
(翻訳 「【し】だってば!【ひ】じゃなくて【し】!」)
遂に業を煮やしたウーは言ったものです。
ウー 「わかってないなー、ママは!【ひ】だよ!
テンテンつけると【じ】になるやつだよっ!」
母はこの時初めて、彼がひらがなをマスターしていることを知ったのでした。なにしろ文字を一切教えない方針でやっていたので…。
彼のセミリンガルっぷりは今でも大したものですが、この頃から比べたら進歩してます。格段に。なんたって、先日はこんなことを言いましたから。
「ママ、庭に
さまざまな花が咲いているね!」
・・・間違ってはいないよ、確かに文法的には合ってるよ。でもね・・・。
他人様に日本語を教えている場合ではないかもしれません>私
おばーちゃんおなやみちゅう。
らんきんぐもおちてるみたいなのでくりっくでげんきづけてあげてください。

順位がズルズルと40位間近…
今日もクリックお願いしまーす!

0