『消えてしまいたかった』
PON(著)
2005年
東方出版
☆☆
躁鬱病に苦しむ若い(?)女性の手による、詩とイラスト。
もう何年も前に本屋で平積みになっているのを見かけました。
正直に言えば、詩もイラストもちょっとアレなんですけど、これほどまで端的に鬱状態の心理というものを表したタイトルもないな、と思ったことが印象に残っています。
タイトルが過去形であるところを見ると、今はもう「消えてしまいたい」とは感じていないのでしょうか。ツラかった時期を振り返って書いたものなのかもしれません。そうであればいいな、と思いますが…。
躁鬱病の人がこの絵本を手にとって眺めてみても、それで症状がやわらぐということはないでしょう。
だけど、世の中には、鬱状態の苦しみというものを全く想像できない、という人が意外と多い。想像もできないし、理解できないし、もちろん共感できない(別に「共感できなきゃいけない」というワケではありませんが…)。そういう人に、せめてこのタイトルだけでも見て欲しいと思います。

0