『1週間で分かる情報セキュリティアドミニストレータ集中ゼミ【基本編】(2007年版)』
岡嶋 裕史(著)
2007年
日本経済新聞出版社
☆☆☆
情報処理技術者試験の「情報セキュリティアドミニストレータ試験」(情報セキュアド)用の参考書。主に午前問題対策向け。
本書のコンセプトは「最小の努力で合格を勝ち取る」「低空飛行型合格対策書籍」。重要箇所に的を絞って解説しており、最初から100点満点は目指していないようだ。午前問題の出題範囲のうち、「ネットワーク技術」「セキュリティと標準化」「監査」に対応している(「コンピュータシステム」「システムの開発と運用」「情報化と経営」については、初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)等の参考書を参照せよ、とのこと)。
書店に並んでいた10冊弱の類書をザッと見比べた中では、本書が一番わかりやすそうだった。文章量、文字の大きさ、図表のレイアウト、等が適切で、パッと見て読みやすい紙面。図の内容も理解に役立つ適切なものだと思う。文章はほとんど口語体で、冗長に感じることもあったが、実際の授業を受けているような臨場感がある。
同じ著者による『
セキュリティはなぜ破られるのか』(岡嶋裕史 2006年 講談社)を読んだことがあるが、本書の方が面白い(資格試験参考書なのに…)。余計なお世話かもしれないが、著者は大学の先生よりも、こういう受験予備校講師みたいな仕事の方があっているんじゃないかと思う。セキュリティ技術の解説に関しては、まさに水を得た魚、立石に水とはこのことで、読み物として読んでも面白い。頭がこんがらがりやすい公開鍵暗号方式やディジタル署名の説明はかなりわかりやすく、何故いままでこんがらがっていたのかが不思議に思われるほど。
付録として過去3年分(平成16〜18年度)の午前問題とその解答・解説が収録されているので、問題集としても使えると思う(本書に載っていた問題のうち10問ほどが、平成19年度の本試験に出題されていた)。比較的詳細な索引あり。
姉妹編として、午後問題対策用の『
1週間で分かる情報セキュリティアドミニストレータ集中ゼミ【応用編】(2007年版)』(岡嶋裕史 2007年 日本経済新聞出版社)が出版されている。
本文285ページ程度。

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