『入門者のJavaScript』
立山 秀利(著)
2014年
講談社
☆☆☆☆☆
講談社ブルーバックスの「B-1850」。プログラミングの「プ」の字も知らない読者を対象としたJavaScript入門。サブタイトルは「作りながら学ぶWebプログラミング」。ここで言う「Webプログラミング」とは、クライアントサイドスクリプト技術としてのJavaScriptによるHTML・CSSの操作のこと。サーバーサイドまでを含めた「Webアプリケーション」とはまたちょっと違う。
全9章構成。読者に「JavaScriptによるHTMLやCSSの操作」というものがどういうものなのか、概要をつかませることに主眼を置いている。よくあるJavaScript入門の冒頭3章分くらいの内容を題材に、Webページにある機能を持たせるためにはどんな仕組みが必要で、そのために利用可能なJavaScriptの機能にどんなものがあるのか、それをプログラムとしてどのように記述すればいいのか、言葉を尽くして教えてくれる(全般的に文章がかなり冗長で、(ページ数を増やすため、というような)水増し感もないワケではないが…)。
各章の内容は、JavaScriptとは何か、本書で必要となる最小限のHTML・CSSの知識、JavaScriptプログラムの記述の原則、イベント処理とイベントハンドラ、DOMによるHTML・CSSの操作、変数、条件分岐、配列と繰り返し、プログラムの改善(関数、リファクタリング)、といったところ。初めての人でも週末の2日間で読み終えられる分量、他のプログラミング言語の経験があれば半日程度で終えられる分量か。ただし、イラストを利用した説明は少なく、最後の2章くらいになってくると、本当のプログラミング初心者には難しいかもしれない。
同じ著者による同じコンセプトの『
入門者のExcel VBA』(2012年 講談社)にも感じたことだが、本書で用いられている「作例」と、それを使って「何をどう教えるか」に、著者の技が見える。何を削り、何をどういう順序で説明していくか、それが練り上げられている。作例はシンプルなものだが、本書を終えた後の将来の学習を見越した解説も多い。「プログラミングをどう教えればいいのか」という点でも参考になる。
著者としては、この本を終えた後は、HTMLとCSSについてより本格的に学び、JavaScriptについても更に深く学び、AJAXやjQueryの活用について学び…、という道筋を考えているようだ。1冊の新書を読んだだけでJavaScriptを駆使したWebページを作れるようになるかと言えば、ドダイ無理な話。しかし、学習を進めていく出発点の役割を果たすために何が必要かを、著者はちゃんと考えている。
CD-ROM等は付属しないが、作例の完成版や作例の作成に必要な画像ファイル等一式を
著者のWebサイトから
ダウンロードすることができる。ただし、(画像ファイルは手持ちのファイルで代用することにして)本文に記載されているプログラム(JavaScriptファイル、HTMLファイル、CSSファイルの全てを合わせても、新書サイズで2ページ強程度)をキーボードから入力し「写経」していった方が、より理解が深まるのではないかと思う。
本文280ページ程度(索引等を含む)。

0