『スラスラわかるJavaScript』
生形 可奈子(著)
2013年
翔泳社
☆☆☆☆☆
プログラミング自体が全くの初めて、という人のためのJavaScript入門。「スラスラわかる」シリーズ中の1冊(他に、C、C++、C#、Java、PHPの入門書がラインナップされている)。平易な日本語で丁寧に解説されており、中高生から年配の読者まで無理なく学べると思う。知識ゼロの初心者に対するクライアントサイドスクリプト技術の「教え方」という点でも参考になる。サブタイトルは「知識ゼロからプログラムが作れる!」。
全14章構成。第1〜3章は、JavaScriptの概要、HTMLとCSSの基礎知識、といった言わば「準備編」、第4〜10章が「基礎編」で、変数・演算子、制御構造、関数、オブジェクト、イベント、ブラウザオブジェクト、DOM、と一通りを学んでいく。第11〜14章は、jQueryを扱う「発展編」。最後はAJAXやアニメーションを用いた簡易スライドショーの作成といったところまでをカバーする。また、「付録」では、ブラウザとしてGoogle Chromeを用いた場合のデバックの仕方(「JavaScriptコンソール」でのブレークポイントの設定とステップ実行)について簡単に触れている。節ごとに「チェックテスト」が、各章末には「この章の到達度チェック」が用意されている(巻末に解答例が掲載されている。ただし、問題が易し過ぎ、あんまり意味ないかも)。
評判の良い『
ノンプログラマのためのJavaScriptはじめの一歩』(外村和仁(著) 2012年 技術評論社)よりもいいんじゃないか?という印象。いろいろ省いてはいるが、省きどころ(?)が良く、不足をあまり感じない(「あれ? 載ってないな」と思ったのは、「setAttribute」「addEventListener/removeEventListener」くらい)。薄い紙(と言うか、「軽い紙」)を使っているため軽く、400ページ強と分量は多いもののスイスイ読み進んでいける。黒と青の2色刷り印刷の紙面も見やすいと思う。
ただし、「JavaScriptを用いて、Webページにどんな『仕掛け』を実現するか」という観点から見ると弱い。出版社の本書の
サポートページから(おそらく紙数の都合で掲載を見送られた71ページ分の)JavaScriptサンプル集(PDFファイル)をダウンロードすることができるので、コードを1行1行追ってみるのが良いだろう(書籍だけなら星4つ、このPDFファイルを含めて星5つ、といったところか)。あるいは、上述の『ノンプログラマのためのJavaScriptはじめの一歩』や『
入門者のJavaScript』(立山秀利(著) 2014年 講談社)と併読するのも良いだろうと思う。
サポートページからは、本書に掲載されているサンプルコード、上述のJavaScriptサンプル集のサンプルコードもダウンロードすることができる。また、正誤表、補足情報、等も掲載されている。
本文ページ365ページ程度(他に、「付録」、「チェックテスト」「この章の到達度チェック」の解答例、索引、として40ページ程度)。

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