『基礎から学ぶ データ構造とアルゴリズム』
穴田 有一・林 雄二(著)
2009年
共立出版
☆☆
情報系の大学や高専、専門学校での講義の教科書として使われることを念頭に置いた、典型的な「アルゴリズムとデータ構造」入門。理工系の教科書の文章は(僕のような文系人間から見ると)驚くほど素っ気ないもので、本書の記述も「アッサリ」した印象だが、言葉不足ではないので(文系読者の)独学にも使えると思う。140ページ程度の薄い本。
全4章構成。「計算量(O記法)」「データ構造(配列・リスト、スタック・キュー、木構造)」「探索(2分探索木、2分探索法、ハッシュ法)」「整列(交換ソート・選択ソート・挿入ソート、シェルソート、ヒープソート、クイックソート、マージソート)」といった最小限の内容。ところどころに練習問題が設けられており、巻末に解答例が掲載されている。
あっさりテイスト。意欲のある学生さんなら、「時間をかけてジックリ取り組む」というより、「土日の2日間でこの本に書いてある内容を全てマスターする!」くらいの意気込みでバリバリ読み進めていった方がいいと思う。類書と読み比べて基礎固めをするのも吉(特に第4章「整列」の解説はあまり良くないので、他の本と併読した方が良いと思う)。ただし、流し読みではなく、ちゃんと理解しながら読むこと! 掲載されているサンプルコード(JavaとC言語)やその解説が間違っている箇所があり(また、間違いではないにせよ不要な処理を行っていたり、適切とは思えない例もある)、間違いを全て発見し訂正するツモリで読むとシッカリ理解できると思う(笑)。僕が読んだのは「初版2刷」だが、些細な誤植は結構多い(特に「数値」に誤りが多い。出版社の
本書のサポートページにも正誤表は掲載されていない(2017年05月現在))。何と問題の解答例にも誤りがある! また、全てのアルゴリズムにサンプルコードが示されているワケではない。
如何にも「基礎から学ぶデータ構造とアルゴリズム」という内容の本。講義用の「アルゴリズムとデータ構造」の教科書は類書が実に多い。本屋で立ち読みしてみても正直似たり寄ったりで、本書も特に個性はないような…(著者としては「説明に図表を多く用いている」点が本書の「個性」だと思っているのかもしれないが…、本書の「無個性」振りはタイトルからも窺えようというものだ(笑))。紙数も少なく、しかも何かと中途半端なので、定価で購入していたらかなりガッカリしていただろうと思う。できれば古本を数百円で買いたい本。私自身は「類書を片っ端から立ち読みした中では、最もシンプルな内容で、かつ、最も易しそうだったから」という理由で本書を選び、古本を購入した。
ちなみに、著者2人は
北海道情報大学の先生のようで、自らの授業で使うために執筆した本なのだろうか?(授業の配布資料をまとめた本なのかもしれない。)北海道情報大学・経営情報学部の偏差値は40程度で、それくらいの大学の講義用教科書として適切な内容・レベルということなのだろうと思う。
本文140ページ程度(他に、参考図書、練習問題の解答例、索引として10ページ程度)。

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