2012/5/30  19:54

「コルベア・スーパーパック」〜政治に金を出すということ(1)  スティーブン・コルベア

最近ツイッターばかりで、ブログはご無沙汰しております。←既に定型書き出し

久々ですが、今回はThe Colbert Reportの話題。

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The Colbert Report 2011/3/30

この「スーパーパック」の話は、前から書きたいと思っていたのですけど、正直わかりにくいネタだし、私自身よく理解しているかどうか自信がないのですが...

でも、コルベア・レポーはこの「スーパーパック」ネタでピーボディ賞(テレビ・ラジオの報道に対する賞)を獲得したことだし、アメリカの政治を見る上で非常に興味深い話なので、「私がざっと調べた範囲で書くので、間違ってたら突っ込んでね」といういつもの言い訳つきで、書いてしまうことにしました。

実は、最近あることをきっかけに、「政治に金を出す」「金を出すという形で政治に参加する」ということに対する日米の感覚の違い、てなことを考えていたのですよね。このへんも非常に微妙というか、一筋縄ではいかない難しいところなのですが...その話はあとで。

さて、まず「スーパーパック(Super PAC)」からですね。PACというのはPolitical Action Committee(政治行動委員会)、えーと、まあ要するに、アメリカの政治資金団体の呼称です。

以下、ごく大雑把な説明になりますが...

アメリカのPACは、当然のことながら、それぞれある政党/政治家(候補者)と公式に結びついたもので、アメリカの政治資金規正法の制限を受けていたわけです。以前は。

で、ここで出てくるのが、悪名高い2010年の最高裁「シチズンズ・ユナイテッド」判決です。

この最高裁判決は、憲法修正第一条(言論の自由を定めた条項)を根拠に、「政府は政治資金を規正することができない。企業や個人が出す政治資金を制限する法律は憲法違反である。」という判決です。

@つまり、企業や団体(労働組合など)は、「団結した市民(Citizens United)」であるので、言論の自由を保障されている。

Aそして、政治に「金を出す」ということは言論の一形態であり、それを制限するのは言論の自由の侵害である。

B従って、どんなに、どんなに巨額であっても、企業が政治家に金を出すことを、政府が規制することは違憲である。

うーーーーーん。

@とAは、たしかに否定できない論理なのに、Bになると「そんな馬鹿な!!」と、床に倒れて悶え苦しみたくなるような、悪魔の三段論法。これをどうしたらよいのだろうか...

とにかく。この判決を受けて、放射能クモに噛まれたようにスーパーパワーを得たPACが、「スーパーパック」というわけです。

そして、そのスーパーパワーとは!

・金額に制限がなく、何億ドルでも何兆ドルでも、好きなように集められるぜ!

・しかも、いくら集めたか公表しなくていいんだぜ!

・企業であっても個人であっても寄付者は匿名でOK!巨大企業が特定候補者を丸抱えしていてもバレないぜ!

・スーパーパックは、建前上は「候補者とは無関係」!対立候補にに対して、スーパーえげつない、かつ大ウソのネガティブCMを流しても、候補者自身は「私は関係ない」と言い張れるぜ!

というわけで、いよいよ本格的になってきた大統領選挙でも、各候補者にはそれぞれ支援するスーパーパックがついていて(オバマさんにもね)、建前上は「連動していない」ということにしつつ、巨額の金を集めてバンバンCM(対立候補に対するネガキャン含む)を流しまくっているのでした。「匿名のヒモがついてる勝手連」みたいなもんですかね。

(ここまで、正確に言うと違う点もあるかと思うのですが、(自分に)分かりやすいように書いてみました...)

さて、アメリカ政治のこのような状況は、日本ではあまり報道されていないのですが...この辺がもっと知られて、比較で語れるようになれば、日本の新聞の「政治とカネの問題」という意味の曖昧な空しいお題目についても、もっと意義のある議論ができそうな気もするのですが...まあそれは置いておいて。

より問題なのは、これが「アメリカでも」あまり突っ込んだ報道をされていなくて、スーパーパックの仕組みとか、アメリカ市民自身がよく知らない、ということなのです。テレビに流れる、ある政治家を攻撃する真偽不明のオドロオドロしいネガキャンCMが、誰が金を出して、どういう経緯で流されているのか知らない。その政治家の対立候補に大金を出して丸抱えにして、自社に都合のいい法律をどんどん作らせている企業だったとしても、知らないし興味もなく、ただイメージだけ受け取る、みたいな...

スーパーパックとは何であるのか。どういう仕組みになっているのか。アメリカの政治に、どういう影響を与えているのか。

これを人々に分かりやすく示すには、一番いいのは、やっぱり自分で作ってみることじゃね?

というわけで(ようやく本題)、「The Colbert Report」のキャラクター『スティーブン・コルベア』は、自分自身の、本物のスーパーパックを始めることになったのです。

何しろスーパーパックは、建前上は「特定政治家とは無関係」。だから、政治家との関係はまったくないスティーブンでも作れちゃうのです。(他のスーパーパックは、建前上はともかく実質は、特定の政治家/政党と結びついている。)

それにスーパーパックは、「その金で何をやるか」を明らかにしなくても好きなようにお金を集められ、しかも寄付者の名前も金額も秘密でいい。だから、番組で、「こんなん作ったから寄付して!」と呼びかけるだけで、「これは面白そう!」と思ったファンから、かなりの金額(具体的には秘密)が寄付が集まっているわけなのです。

で、このスーパーパックの目的について、番組内でのキャラクターの『スティーブン・コルベア』氏の説明は、「カール・ローブが無制限に匿名の金を集められるんなら、ぼくだって無制限の金、欲しいよ!集めたいよ!」というものなのですが...

マジレベルでの本当の目的が、「スーパーパックに対する規制がいかにユルいか、どんなにメチャクチャが出来てしまうか、それが政治にどんな悪影響を及ぼしているかを分かりやすく示すこと」であることは明らかです。

それを示すには、スティーブンはこの(本物の)スーパーパックで、(善意の人々が寄付した)金で、普通なら悪影響があるようなメチャクチャをやってみせなければならないわけで。はい、想像がつくと思いますが、非常に危ない、きわどいネタです。でも今のところ、スティーブンは綱渡りを見事にやってのけていると思います。

スーパーパックの顧問弁護士として、元共和党の選挙ブレーンだったポッターさんという弁護士が登場するのですが、この人が傑作でね。『スティーブン』が、「こういうことをやりたい(←内容は、え?と思うようなメチャクチャ)」と言い出すと、「それはダメです」と言った後、一拍ためてから、「・・・でも実は、こういう回避策をとれは、それもできちゃうんですけどね〜」と続ける、その邪悪な微笑みがニクい。ああ、私もこういう弁護士が欲しいよ(え)

つづく。



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