2008/5/29  22:06

ミスト ☆☆☆  映画感想 2008年〜

スティーヴン・キングの中篇「霧」を読んだ時、ああ、これは長さといい内容といい、映画化にぴったりの素材だと思ったものでした。

でも、特にキングの場合、この「(読んだ時は)映像化したら素晴らしいと思える」というのがクセモノなのです。読者の頭に浮かんだ映像に、映画化した結果が似ていても、逆にまったくかけ離れていても、どちらにしてもガッカリする…ということになりがちなので。

その点、この映画はがんばっていると思いました。B級モンスター・ホラーのテイストと、心理劇的な怖さのバランスがよくて。襲い来るバケモノたちと、宗教狂いのオバサンと、アメリカの田舎町の閉鎖性。キングの映像化で、これほど「キングっぽさ」がちゃんと出ているのって初めて見たかもしれない。

うじゃうじゃ出てくる化け物たちは、原作を読みながら私が想像していたのとだいたい同じ感じだったのですが…恐怖の盛り上げ方がなかなかタイトで、抑制のきいたショック演出もよかったし。ぎょっとして椅子の上で飛び上がりそうになったのが3回ぐらい。ちょうどいいところですね。

そういうわけで、最初の一時間半ぐらいは文句なく楽しめたのです。ただ…

原作では、この話の怖さの一番のポイントは、バケモノたちではなく、宗教狂いのオバサンでも「人間の醜さ」でもなく、「霧の向こうが見えない」ということにあると思うのです。この霧はどこまで広がっているのか?この周辺数十キロだけなのか?それともアメリカ東海岸全体なのか?それとも…世界中なのか?世界は滅びて、このスーパーマーケット内だけが残された唯一の世界なのか?…もしそうなら、ここで生き残る価値はあるんだろうか?

この世界は滅びたのか?という恐怖が、映画ではイマイチ伝わっていないような気がしたのです。もしかして、映画ではそれが描きにくいから、あえて「人間心理の怖さ」の方にポイントを移したのかなあ。

でも最大の問題は、原作と大きく異なっているラストですね。もちろん、ストーリーが原作と違っていること自体は、全然かまわないのです。むしろいいと思う。でも、今までそれなりに筋の通った行動をしていた主人公たちが、ストーリーが原作を離れたとたんにアホになるのはどうかと思う。

<以下ネタバレ(原作含む)>
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