2009/12/6  19:57

オーブリー&マチュリン「21」(その17)  パトリック・オブライアン

「マイディア、ジャックの様子はどう思った?」お茶を飲みながら、スティーブンがソフィーに聞きました。

「ええ、とても元気そうね。ありがとう。」ソフィーは顔を赤らめて、「私としては、ちょっと痩せすぎのようにも思えるけど、将官になれて本当に喜んでいるみたいで、私もとても嬉しいわ。」
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2009/11/29  20:29

オーブリー&マチュリン「21」(その16)  パトリック・オブライアン

無事に家族を迎えたジャックとスティーブン。早速、ジャックは双子の「なんで提督の軍服を着ていないの?」というでかい声の二重唱、スティーブンはブリジッドちゃんの「ディアレスト・パパ」というはにかんだ囁きの挨拶を受けたのでした。

ソフィー、クリスティーンとその兄、子供たちのご一行は、リングル号からジャックの旗艦サフォーク号の客室に移りました。小型のスクーナーから戦列艦に移ると、その大きさの違いは際立っていて、双子は「ホテルとほとんど変わらないぐらい良い」と評して、キリックに嫌な顔をされています。
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2009/11/21  23:03

オーブリー&マチュリン「21」(その15)  パトリック・オブライアン

飛行機はもちろん、パナマ運河もなく、陸上交通手段も馬ぐらいしかない当時、同じ南米でも太平洋側と大西洋側ではイギリスからの距離は大違い。イギリスからブエノスアイレスまで正確にどのぐらいかかったかはよく知りませんが...1か月半ぐらい?

とにかく、家族を呼び寄せる手紙を託したサプライズ号とリングル号が出航した後、風に恵まれ、その他あらゆる点がラッキーだったと仮定して最低限かかる日数が過ぎた後、ジャックとスティーブンは毎日、一番遠くまで見渡せる高台まで登って望遠鏡で水平線を見つめ、リングル号が現れるのを今か今かと待ちわびていました。(もっとも、スティーブンの方は、ついでに鳥を観察したりしていたのですけどね。)

がっかりして港に降りてくる日々が何日か続いた後のある日、いつものように高台に登って水平線を見てた二人。二人が登っている山は緑のほとんどない、荒れ果てた感じで、ジャックは「ウールコムの緑が懐かしいなあ」と言いました。「青色艦隊少将になれたことは本当にうれしいけど、もしなれなくてイギリスに戻ることになっていたら、ウールコムをぼくの少年時代みたいに、父がすっかり変えてしまう前に戻すつもりだった...」

なんてことを話しているうちに、スティーブンが、縦帆艤装の小型船がすでに入港しているのに気付きました。「なんてこった、あれはリングルだ!」とジャック。

リングルはスピードが速いので、二人がえっちらおっちら山を登っている間に、すでに港に近づいていたのですな。で、二人は水平線ばかり見ていたので気付かなかったと。

ジャックは飛び上がり、すごいスピードで急坂を駆けおりて行き、あっという間にスティーブンの視界から消えました。「あれほど大きい男があれほどのスピードで動けるなんて、この目で見ないと信じられないところだ。」とつぶやきながら後を追うスティーブン。

ジャックかわいい。口の悪い人には、「転がった方が早い」とか言われそうですけど...(言っているのは私。)

港に戻った二人は、ソフィーとクリスティーンとクリスティーンの兄のエドワード、パディーン、船酔いですっかりやつれた双子と、元気いっぱいのブリジッドちゃんを出迎えたのでした。

2009/11/10  23:38

オーブリー&マチュリン「21」(その14)  パトリック・オブライアン

ブエノス・アイレスの港。アフリカ艦隊が補給と装備に忙しい中、サプライズ号とリングル号は、故国に向けて出航する準備をすっかり整えていました。

さて、ジャックが思いついた「ニュートン級の名案」とは...

ソフィーとクリスティーンと子供たち(ジョージは除く、艦に戻らないといけないので)を呼び寄せる、ということでした。
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2009/10/26  21:45

オーブリー&マチュリン「21」(その13)  パトリック・オブライアン

今回は短いです。

そういうわけで、これ以上険悪な雰囲気になるのを避けるために、クリスティーンはブリジッドちゃんとパディーンを連れて兄のエドワードの領地(イングランド北部)に行った方がいいんじゃないか、とソフィーは考え始めているようです。とりわけ、クリスティーンに興味を示し始めているミラー大尉(Captain Miller)を避けるためにも...

「キャプテン・ミラー?聞いたことないな。どの艦?」とスティーブン。「いやいや、ただの陸軍将校だよ。近くに荘園を持っているのだけど、いやな奴で、顔を合わせても挨拶ぐらいしかしない。シエラレオネに駐屯していたこともあるらしい。」とジャック。

このミラー大尉がシエラレオネ時代にクリスティーンと知り合いだったのか、それともウールコムに来てから知り合ったのか分かりませんが、とにかく若くて美人で金持ちの未亡人ということで、さっそく目をつけられているようです。彼女はスティーブンと正式に婚約しているわけじゃありませんからね。それどころか、プロポーズに正式にイエスの返事もまだもらっていないのであった。

クリスティーンはこのミラー大尉を嫌っているようだし、彼女は未亡人の身で結婚を強制する親がいるわけじゃなし、断ればいいようなものですが...でも、当時の上流社会なんて狭い世界だから、地位のある男のプロポーズをはっきり断ると、やっぱりいろいろマズイようです。だから、話がそこまで行かないうちに逃げるが勝ち、なのかも。

スティーブンも、早くはっきりさせた方がいいのかも...それにしても、当時の女性は本当にいろいろと不自由ですなあ。お気の毒。

ここでキリックがトースッテッド・チーズを運んできて、二人で黙々と食べた後、ジャックが言いました。「実は、ニュートン級の名案を思いついたのだけど...今夜一晩、手紙をよく読み返してもう一度考えてみるよ。朝食の時にもう一度話そう。」

ここで第2章はおしまい。次回から第3章。



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