なんか、うさん臭そうなジャケットですね...タイトルも『Soul Message』...
リーダーはリチャード・”グルーヴ”・ホームズ...「誰それ?」って感じですよね。オルガン奏者です。
そう、このアルバムもプレステッジのブラック路線シリーズの1枚です...
これが店頭に並んでいても、誰も手を出さないでしょうね...そもそも国内盤では出てないか...
そういう私も、恐る恐る買ったんですけどね...ところが、見ると聴くとでは大違い!
当たりです。これは。非常に取っ付きやすくて、解り易いんです。
「解り易い」って言っても、後期のジミー・スミスのようにポップ路線に走っている訳ではなく、しっかり黒いです。
このアルバムの聴き易さは、選曲にあるのかも知れません。クリフォード・ブラウンの「Dahoud」、シルバーの「Song for My Father」、さらに「Misty」など、ジャズファンには馴染みの深い曲をやっているのが大きいのかも知れません。
これらの曲が、上手くオルガンジャズ風にアレンジされていますので、その辺も聴き所となるでしょう。
オルガン・ジャズの聴き始めには絶好の1枚だと思います。
ホームズのプレイの特徴は、とにかく強烈な左手!これに尽きると思います。
オルガン・ジャズでは普通、ベーシストは置きません。オルガン奏者の左手がベースラインを受け持ちます。
ジャック・マクダフも強力な左手を駆使した強烈なドライブ感を売りにしていますが、ホームズの左手はさらに上を行っています。
私の知るオルガン奏者の中では最強です。とにかくよく動きます。ひょっとしてこの人は左利き?
強烈な左手と比べると、右手は平凡です。平凡と言っても、あくまでも左手と比較しての話です。決して下手ではありません。
左手⇒超一流、右手⇒一流と二流の間、といった所です。
このアルバムは、オルガン、ギター、ドラムスのトリオ編成となっているため(オルガンとテナーは相性が良いのでテナー入りのアルバムが多い)、ホームズのプレイに集中できます。
ただ、ギターのジーン・エドワース(Gene Edwards、よく知りません...)のプレイが、グラント・グリーン、ジョージ・ベンソン達と比べると弱いかな...
まぁ、アルバムの雰囲気を壊す程ではないし、これ位の方がかえってギターの参考になりますので、個人的にはOKです。
A面1曲目の「Groove's Groove」でオクターブ奏法も披露してくれていますが、ウエスのプレイと比べると実にたどたどしくて、ほほえましかったりもします(ウエスと比較されても困るでしょうが...)
すごく良くできたアルバムだと思います。お勧めです。

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