いろんなジャズを聴いてきて、お気に入り・憧れののプレイヤーも随分増えてきましたが、この人だけは別格です。私にとっての最高のジャズ・ミュージシャンです。
レスターの作品といえば必ず引き合いに出されるほど、このアルバムは有名です。
この時期のレスターは精神的にも肉体的にもボロボロで、40年台のスムーズな演奏を期待できる状態ではなかったのですが、このアルバムでは比較的好調なプレイを聴くことが出来ます。
その辺が有名盤になっている理由なのでしょうが、私にとってはあまり重要なことではありません。プレイの好/不調などを超越してしまったところにレスターは存在しております...
このアルバムのレスターの好調ぶりには、テディ・ウィルソン、ジョー・ジョーンズの参加が大きく影響していると思います。
二人とも気心の知れた旧知の間柄ですので、レスターもリラックスできたのでしょうね。ジョー・ジョーンズのツボを心得た絶妙なドラミングが絶品です。
やっている曲はスタンダードばかりです(私の買った国内盤には、A面の4曲目に「Pres Returns」というオリジナル・ブルースが追加されていますが)。
アート・テイタム同様、レスターも気に入った曲を自分流に料理するのが好きな人ですからね...
どの曲も沁みます...中でも気に入っているのは、「Louise」、「Taking a Chance on Love」などのミディアム・テンポの曲になりますかね...
「Taking a Chance on Love」では、テーマ部分と先発のソロをテディ・ウィルソンが受け持っておりますが、ウィルソンを引き継いだレスターのプレイがたまりません...鳥肌が立ってきます...文句なしの名演ですね...沁みます。
B面2曲目の「Love Is Here to Stay」は、私がレスターのアルバムの中で1番好きな、と言うよりジャズのアルバムの中で1番好きな『Going for Myself』というアルバムの中でも演っています(A面2曲目)。
レスターの大好きな曲だったんでしょうね...演奏の出来から言うと『Pres and Teddy』バージョンが上かもしれませんが、私は『Going for Myself』における、何ともいえない枯れた味わいのプレイにより深い愛着を憶えてしまいます...
レスターのプレイを聴いていると、「ジャズっていいな〜」としみじみ感じてしまいます...
モダン・ジャズばっかり聴いている方も、たまにはレスター・ワールドを味わってみてはいかがでしょう?和みますよ〜。
このアルバムは、取っ掛かりとして最適なアルバムだと思います。

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