これは、私の一番好きなギタリスト、ケニー・バレルのプレスティッジにおける初リーダー作です。
ブルーノートへの初リーダー作、『Introducing Kenny Burrell』と、ほぼ同時期に録音されたアルバムですが(『Blue Moods』が8ヶ月ほど後の録音になります)、雰囲気が若干異なります。
ピアニストは、どちらもトミー・フラナガンが起用されているのですが、ブルーノート盤が、バレルのダイナミックなプレイ中心に構成されているのに対し、このプレスティッジ盤は、彼のブルージーな部分を強調した、アフターアワーズ的なリラックスした演奏が中心となっています。
この2枚を聴き比べてみられることをお勧めします。両レーベルのバレルの売り方の微妙な違いがよく分かって面白いと思いますよ。
個人的には『Introducing Kenny Burrell』の方が好きですが、『Blue Moods』にも捨てがたい魅力があります。前にも書いたように、非常にリラックスした雰囲気のセッションで、テンポも抑え目の曲が多いので、疲れている時などに聴くと非常に心地よいですね...私の癒しの1枚でございます...
全ての曲がお勧めですが、敢えて1曲選ぶとすると、A面1曲目の「Don't Cry Baby」なんかいいですね〜。和みます。バレルさんメチャメチャ上手いっす!
ジーン・クルーパーの「Drum Boogie」、バド・パウエルの「Strictly Confidential」など、あまり聴くことのない曲も上手く料理されております。
共演者では、バリトン・サックスのセシル・ペインが面白いですね。私はバリトンはあまり好きではありませんが、この人のプレイはすんなり受け入れられました。ペッパー・アダムスよりは好きです。
ダグ・ワトキンスの粘るベースも健在ですし、エンヴィン・ジョーンズも控えめなドラミングながら、しっかり主張すべき所は主張しております。
フラナガンについては...何も言うことはありません。すばらしいの一言に尽きます。
あまり派手さはないものの、非常に趣味の良い飽きの来ない1枚です。
ただ、お子ちゃま向けのアルバムではないかもしれません...

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