アート・テイタムほどの偉大な天才ピアニストについて語るのは、あまりにも恐れ多いため、今まで取り上げるのをためらっていました。
現在復刻されているジャズのCDは、ビ・バップ期以降の作品がほとんどのように思われますし、最近ジャズが好きになられた方々の関心も、それらのジャズに偏っているような気がします。
ビ・バップ以前のジャズがすべてすばらしい訳ではありませんし、当時からのミュージシャンがすべて偉大だとも思いませんが、せめてアート・テイタムくらいは押さえておいて欲しいです...
このアルバムは、ベース、ドラムスとのトリオ編成による録音ですので、"ジニアス"と呼ばれるにふさわしい天才ピアニストの作品の中でも、特に親しみ易いアルバムだと思います(ベン・ウェブスターとの共演盤もいいです)。
ソロアルバムも何枚か出ていますが、こちらの方はちょっと高尚すぎて...ジャズを楽しむという雰囲気ではないかもしれません...
私の拙い文章力では、とても彼の凄さを表現することは出来ません...聴いてみてもらえれば、彼の凄さ・何故"ジニアス"と呼ばれているのかが、すぐに理解していただけると思います...
ちょっとノスタルジックな演奏スタイルなので、好き嫌いはあると思いますけど...
オリジナル曲で勝負するというよりは、自分の気に入った曲を、自由な発想で料理していくのが好きな方のようなので、このアルバムも全10曲中、オリジナル曲はラストの「Trio Blues」だけです。
スタジオで即興で作ったような曲ですが、結構いいです。あまりブルースをやらない巨匠の黒くないブルース...沁みます...
その他の曲については...聴いてみてくださいとしか言えません...とにかく凄いです。
書き忘れていましたが、アート・テイタムは目がほとんど見えません。目が不自由な分、音に対する感覚が極限まで研ぎ澄まされて、超人的なテクニックが生まれたのでしょうね。

0