なんとも味わい深いアルバムです...一生ものの1枚ですね。
ブルー・ミッチェルは、ホレス・シルバー・クインテットのトランペッターとして脚光を浴びた関係上、ファンキー・ジャズの申し子みたいなイメージを持ってしまいがちですが(私だけか?)、このアルバムを聴くと、そのような先入観が全くの誤りであることに気付かされます。
そのプレイからは、全盛期のリー・モーガン、フレディー・ハバートのような天才的な閃きのようなものを感じる訳でもなく、ハイ・ノートでバリバリ吹きまくるタイプでもありません...どちらかと言うと地味〜なスタイルなのですが、なんかいいんですよね〜。こういう表現が適当かどうか分かりませんが、上品なトランペッターだと思います。
このアルバムも、全体的に非常に趣味の良い上品な仕上がりとなっております。あまりトリッキーなことをやらずに、シンプルに朗々と歌い上げる様がたまらんです。渋いっす...
共演者も文句なしです。ウィントン・ケリー、サム・ジョーンズ、ロイ・ブルックス...全く非の打ち所がございません。
特にミッチェルさんとケリーさんの相性の良さが際立っておりますね。それもそのはず、リバーサイドから出したミッチェルさんのアルバムは、本作で4枚目(?)になりますが、その全てにケリーさんが参加しているのですから...まさに阿吽の呼吸って感じですね。
相性だけではありませんよ。ミッチェルさんもケリーさんも、この時期のベストと言っても良い絶好調なプレイを聴かせてくれております。
ケリー好きの方も、このアルバムは押えておかないと...
これだけ褒めちぎっているアルバムですから、捨て曲などはありませんが、目玉はやっぱりA面1曲目の「I'll Close My Eyes」で決まりでしょう...
まぁ、聴いてみてください...私なんか何度聴いても鳥肌が立ちます。昨夜も聴いてみましたが、やっぱり立ちました...
ミッチェルさんのプレイはもちろん絶好調ですが、この曲はケリーさんが凄いです!!ソロだけじゃなくてバッキングもちゃんと聴いてくださいね。素晴らしいとしか言いようがありません...
B面もしびれますよ〜。1曲面の「Sir John」はミッチェルさんのオリジナルです。この曲だけが典型的なファンキー・ジャズの演奏になっておりますが、この面の聴き所はラスト2曲(「Sweet Pumpkin」、「I Wish I Knew」)でしょうね。ミディアム・テンポの非常に上品な仕上がりとなっております。ここでも鳥肌が立ちます...
A面4曲目の「Kinda Vague」はスロー・ブルースです...ミッチェルさんもケリーさんも、ブルース上手いです...この曲は、サム・ジョーンズの見せ場でもあります。これも捨てがたいですね〜
派手さはありませんが、長〜く付き合える1枚であると言えるでしょう...お勧めです。

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