ここの所、ソフト路線のアルバムが続いてましたので、今回は骨のあるやつにしてみます。
ひとつところに留まることを潔しとしない男、ジャッキー・マクリーンは、パーカー直系のアルト奏者としての地位に甘んずることなく、モード、フリーなどの新しい流れにも積極的に取り組んで行きます。
『Let Freedom Ring』あたりからそのような傾向が明確になってきますが、ハード・バッパーとしてのアルバムで見せてくれた熱いプレイぶりは、何も変わっておりません。むしろ、よりアグレッシヴさを増してさえおります...かなり良い感じです。
このアルバムは、そんなアグレッシヴ・マクリーンの作品の中でも一番気に入っている1枚です。
演奏の内容は、当時流行りの新主流派(モード)ジャズでございます。
この頃(65年)になると、マクリーンはモード手法を完全に自分のものにしておりますね。随所にフリーキーなフレーズも織り交ぜながら、全くよどみのないアドリブを聴かせてくれております。
以前の、ひっかかりながらも一所懸命に吹いているマクリーンが好きな私としては、ちょっと寂しい気もしますが...
とにかく格好良いです!!A面1曲目の「Eco」...ハード・バップ好きの私も思わず引き込まれてしまう魔力みたいなものを感じます...すばらしい曲です...
ちなみにこの曲は、「turuの選ぶブルーノート名演100選」にエントリーされております。
B面の2曲(「Christel's Time」、「Right Now」)もすばらしい内容で、大変気に入っているのですが、エリック・ドルフィーへのレクイエムであるA面2曲目「Poor Eric」はちょっと暗くって聴くのが辛いです...まぁ、テーマがテーマですから仕方ありませんが...
ちょっと気になるのは、ピアノですかね...別にこのアルバムのピアニスト(ラリー・ウィリス)がどうのこうのということではありません。凄く上手いピアニストだと思います。この人は。
ただ、この辺(新主流派)のアルバムにおけるピアニストのプレイに、あまり個性が感じられません...誰が弾いているのを聴いても、ハービー・ハンコックに似てるような気がします...
ハード・バップ期の有名どころのピアニスト達は、それぞれ好き/嫌い、上手/下手はありますが、それぞれ自分の個性(スタイル)をしっかり持っている人ばかです。
ハード・バップ期のアルバムは、それが初めて聴く作品であっても、「これはシルヴァーかな?」とか、「なんか、ガーランドに似てるなぁ...」とか想像をめぐらしながら聴くことができて面白いのですが、いくら上手くっても、ハンコックのデッド・コピーのような演奏ばっかり聴かされていると...ちょっとうんざりする時もあります...
コード進行という制約からの解放をめざして誕生したモード手法を実践しているピアニスト達が、人の真似しとったらダメだと思うんですけどね...
何の脈絡もないですが、クリフォード・ジャービスのドラムス...良いです。このアルバムでは、マクリーンの次にキレてます...
あと、このジャケットもかなり気に入ってます。マクリーンのアルバムの中でも1〜2を争う出来ではないでしょうか?

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