お行儀のよいピアノばかり聴いていると、無性にパーランのピアノが恋しくなってしまいます。身体的なハンデを強烈な個性にしてしまうバイタリティ、あのどうしようもない黒さ...一度好きになったら病み付きになっちゃいます...
このアルバムは、パーランの2作目になります。前作『Movin' and Groovin'』同様、トリオによる録音になりますが、本作ではベースがサム・ジョーンズから、ジョージ・タッカーに代わっております(ドラムスはアル・ヘアウッド)。このトリオは当時、「ミントンズ」のハウス・リスムセクションを務めておりますので、息もぴったりでございます。
彼らの息の合った演奏は、A面1曲目の「Us Three」でいきなり炸裂します。
何なんだ!この迫力、カッコ良さは...弦が切れるんじゃないかと心配になってくるジョージ・タッカーの強烈なベース、ブラシ使ってんのに殺気立ったアル・ヘアウッドのドラムス...こんな強烈なリズム隊は、そうそう聴けるもんじゃありません...これを受けて立つパーランのピアノの何と黒いことか...文句なしに「turuの選ぶブルーノート名演100選」に入ります。
ブラシって普通、軽い感じを出したい時に使うような気がするんですけどね...すげぇドラマーです。アル・ヘアウッドという人も...
しょっぱながら強烈な曲で始まるので、後に続く曲達の影が薄くなってしまいがちですが、残りの曲もなかなかのものです。
曲の構成は、パーランのオリジナルが3曲、4曲がスタンダードなどの有名曲となっております。オリジナル曲ではA面4曲目の「Wadin'」が良いですね。この曲は、自作の『Speakin' My Piece』でも演ってます。パーランのお気に入りの曲なんでしょう...彼のダークで重〜い世界を十分堪能できる曲だと思います。
人の曲ですと、B面2曲目の「Walkin'」が印象に残りますね。マイルスで有名な曲ですが、パーラン独自の解釈なのか、まったりとした非常に面白い仕上がりとなっております。この曲の隠れ名演と言っても良いのではないでしょうか?ジョージ・タッカーのソロも決まっております。
タッカーと言えば、B面1曲目「The Lady Is a Tramp」のソロもイケてます。
しかし、凄いトリオです...生で聴いてみたかった...

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