”大名盤”シリーズの続きです。今週はこのアルバムがターンテーブルに乗りっぱなしになってます。
このアルバムは、テイチク(演歌のレーベルというイメージが強いですが)から再発された際にゲットしました。中袋が上質で気に入ってます。東芝EMI、キングなどの国内盤LPの中袋(半透明のビニール製のやつ)はあまり好きになれません...輸入盤のように紙製の方が個人的には好きです。
買った当初は、「Relaxin' At Camarillo」、「Eclypso」などのインパクトの強い曲が好みでしたが、改めて聴いてみると...昔は全然いいと思わなかった「Chelsea Bridge」が妙に気に入りました。ビリー・ストレイホーンの書いたバラードなのですが、バラードにありがちな甘さに流された演奏に陥ることなく、非常に趣味良くまとめられおります。そう、「趣味が良い」のです。この人のピアノ・スタイルは。ハンク・ジョーンズさんあたりに通じるセンスの良さを感じます。
「Relaxin' At Camarillo」のソロなんかではパウエル派的な演奏を展開したりしていますが、彼のスタイルは、どちらかと言うとアート・テイタム、オスカー・ピーターソン寄りなのかもしれません。「Dalarna」のプレイなんかピーターソンそっくりに聴こえます。
今回聴いて、一番気に入ったのは「Little Rock」...例によってブルースです。ウィルバー・リトルの渋〜いイントロから、フラナガンさん、エルヴィン・ジョーンズさんが絡んでくるあたりがカッコ良すぎます。ジャムセッション風のリラックスした雰囲気ながら、ビシッと何か一本筋の通ったような...これぞプロの技!とも言うべき素晴らしい演奏だと思います。
急ごしらえのトリオではない(J.J.ジョンソン・クインテットのリズム隊です)せいか、阿吽の呼吸とでも申しましょうか、ポイントポイントがビシッと決まるので、聴いてて気持ち良いですね。
アルバムを通して、エルヴィンさんがブラシのみを使っていることにも今回初めて気付きました...恐らくリーダのスタイルを意識しての選択だと思われますが、ブラシ持たせてもいい仕事しますわ。この人は...
フィリー・ジョーさんあたりがこのセッションに参加していたら、このアルバムの聴き所でもある、3者の絶妙なバランス、間、といったものがブチ壊しになっていたかもしれません...
いやぁ〜、「名盤」の名に恥じない素晴らしいアルバムでした...若い頃に聴いた時の印象よりも、ずっと凄いアルバムだということを再認識させてもらいました。やっとこのアルバムの本当の良さが理解できる歳になったということでしょうか?...気付くのが遅すぎ?

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