このアルバムは、随分前に購入したまま、レコード棚に埋もれっぱなしになっていた代物です。以前、
バブさんのブログに紹介されているのを見て、買ったまま聴いていないことに気付きました...
このアルバムは70年代になってやっと陽の目を見ることになったブルーノートお蔵入りシリーズの1枚ですね。つくづく可哀相なアルバムです...
録音データは以下のようになっております。
Stanley Turrentine(ts),Tommy Turrentine(tp), Sonny Clark(p). Kenny Burrell(g) Butch Warren(b),Al Harewood (ds)
Rec. Oct. 18, 1962.
A-1 Jubilee Shout
A-2 My Ship
A-3 You Said It
B-1 Brother Tom
B-2 Cotton Walk
B-3 You Better go Now
私の最も尊敬するギタリスト、ケニー・バレルさんの参加も嬉しいところですが、このアルバムのポイントは何と言ってもソニー・クラークさんでしょう。録音日を見てください。。。1962年10月18日...1963年1月にクラークさんは亡くなってしまわれますので、このアルバムは彼の死の3ヶ月前の作品と言うことになります。多分、彼のラスト・セッションだと思います...
死の直前ということもあってか、クラークさんのプレイにはやや精彩を欠く部分が見られます(『Jackie's Bag』のA面ほどひどくはありませんが...)...「最後の演奏だ...」と思って聴いているからかもしれませんが、味があるというか...なんか良いんですよね〜。やっている曲もバラエティーに富んでいて、色んなスタイルのプレイが聴けるので、クラークさんのピアノの総決算!みたいな雰囲気がしないでもありません...
「Jubilee Shout」は、コテコテの黒〜い曲です...執拗に繰り返されるフレーズ、軽快なタンバリンの響き...まるで、ドン・ウィルカーソンの曲みたいです。ソロパートに入ると普通の4ビートに戻ってくれるので、ほっとしますが、タレンタイン先生の好きそうな曲です。クラークさんは、バッキングの時は調子悪そうですね...ソロでは持ち直してくれて安心しますが...スタンリーさん、気持ち良さそうに吹いてます。バレルさんのソロも◎です。
「You Said It」はトミー君の曲です。良い曲です...この人、はっきり言ってトランペットは下手です。やたらと音はずすし...スタンリーさんも、兄貴だから仕方なく使っているんじゃないでしょうか?楽器を正確にコントロールする能力が欠けているんだと思います...雰囲気はあるんですけどね...こういう雰囲気を出す方が、正確な音を出すよりずっと難しいんですけどね。。。だからプロでやっていけてるんだと思います。
作曲の才能に関しては、スタンリーさんよりずっと上です。マイナーキーのいかにも「ブルーノート!」って感じの演奏でございます。このアルバムの聴き所の一つでしょう。
「Brother Tom」...ついつい
小柳トムを連想してしまうタイトルですが...スタンリーさんの曲です。もろビ・バップです。このメンツでビ・バップが聴けるとは...ちょっとびっくりしましたが、最近お気に入りのチャールズ・マクファーソンあたりにも通じる、結構明るめの曲で大変気に入っております。
ミストーンはありますが、クラークさんのソロがこの曲の聴き所でしょう。バド・パウエル直系のバップ・ピアニストとしての持ち味を遺憾なく発揮した好プレイだと思います。これが彼のラスト・セッションなんだと思いながら聴くと感慨もひとしおです...
「Cotton Walk」はスタンリーさんのブルースです...沁みます。個人的にはこのアルバムのベスト・トラックとなっております。クラークさんの最後のブルース・プレイをじっくりと味わうための曲でございます...
せっかく「Cotton Walk」で気持ちよくなっているところに続くのが「You Better go Now」...この曲いらないです。よく出来たバラードだとは思いますが、このアルバムは「Cotton Walk」をラストに持ってきて、しみじみとした感慨と共に終了...といった構成がベストだと思っております...
なんか、スタンリーさんのアルバムなのにクラークさんのことばかり書いてしまったような気がしますね...ま、いっか。。。
クラークさんが好きな人は絶対に聴くべきアルバムだと思いますが、そうでない人にも十分楽しめる作品だと思います。お勧めです。
何でこんないいアルバムを10年以上もほったらかしにしてたんだろう...バブさん本当にありがとうございました。他にも聴かずに埋もれているアルバムがないかチェックせねば...

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