普段は、オルガンやらブルースやら、やたらと黒いものばかり聴いておりますが、たまにはこんなやつも聴いたりします。意外と嫌いじゃないです。
エディ・ヘイウッド...あまり耳にしない名前ですね...ピアニストです。
ウェンデル・マーシャル(b)、ジミー・クロフォード(ds)を従えたピアノ・トリオもののアルバムでございます。1955年の録音で、ヘイウッドさんは1915年生まれですから、彼が40歳の頃の作品ということになります。ジャズの世界では大ベテランと言ってもいい年齢ですね。
1915年生まれということでもお分かりのように、ビ・バップが産声を上げた頃には、彼は立派な大人になっており、ジャズ界でのキャリアも相当なものになっておりますので(詳しくは知りませんが、ビリー・ホリデイの伴奏をやられたこともあるとか...40年代の話でしょう...)、新たなジャズの流れに乗り遅れた感じのピアノスタイルの方です。テディ・ウイルソン系のピアニストと言っても良いかと思います。
バップ全盛のこの時期に、頑なに自分のスタイルを貫き通そうとするその姿勢からは、モード/フリーの流れに逆らって、ハード・バップにこだわり続けたモブレイさん達と同じ哀愁を感じます...
やっている曲は、以下の通りです。
A-1 Hey There
A-2 You Never Gave It a Try
A-3 Love Me or Leave Me
A-4 Tenderly
A-5 So Little Time
A-6 Let's Fall in Love
B-1 Secret Love
B-2 Old Fashioned Walk
B-3 Soft Summer Breeze
B-4 Heywood's Bounce
B-5 Young at Heart
B-6 'S Wonderful
彼のオリジナル(A-2、B-3、B-4)以外は有名な曲ばかりです。要するにスタンダード集ですね。
これらの曲を、前時代的なプレイスタイルで甘〜く演奏されておりますので、何気なく聴いていると単なるカクテル・ピアノのように聴こえます...基本的に私はこのようなピアノは好きではないのですが、何故かこのアルバムだけは聴いちゃいますね〜。理由は...分かりません。ベテランピアニストのなせる技なんでしょうかねぇ?...とにかく聴いてて和みますね。上手いピアニストだと思います。
「Love Me or Leave Me」、「Tenderly」、「Let's Fall in Love」、「'S Wonderful」あたりが特に気に入っておりますが、彼の作曲能力の高さも印象に残ります。前述したとおり3曲のオリジナルが入っておりますが、他の有名曲の中にあっても何の遜色も違和感もございません。いい曲書きます...この人は。作曲家としても十分食っていけると思います。
何で好きなのかはよく分かりませんが、不思議とよく聴くアルバムです。

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