このアルバムは、天才トランペッター、リー・モーガンさんの5枚目のリーダ作になります(ブルーノートからは4枚目)。
1枚目の『Indeed!』が56年11月、本作が57年8月の録音ですから、1年足らずの間に5枚ものリーダ作をリリースしていることになります。クリフォード・ブラウン亡き後、彼に対する期待の大きさの程が伺えますね...
本アルバムも含んだいわゆる初期の作品は、ベニー・ゴルソンさんの影響を直接/間接に受けたものが多いですね。。。前にもどこかで書いたことがあるかもしれませんが、私はゴルソンさんがあまり好きではありません...まず、テナーの音がいまいち...卓越した才能の持ち主であることには何の疑問もありませんが、彼のアレンジもちょっと...アンサンブルの作り込み方がきっちりしすぎていて...面白みがないと言うか...一発勝負のガチンコセッションが大好きな私にはちょっと...って感じです。。。
モーガンさんのようなスケールの大きいトランペットは、アンサンブルに埋没してしまうようなアレンジよりは、自由奔放に吹かせた方が聴いていて気持ちが良いのではないか?と思います。
このアルバムにはゴルソンさんは参加しておりませんが、全5曲中3曲がゴルソンさんの曲で、アレンジからも彼の影響が色濃く出ております...が、そこは一流ミュージシャンばかりのセッションですから、個々のソロパートに入ってしまえば快適なハード・バップが楽しめるアルバムに仕上がっております。
ブルーノートのセッションにはあまり馴染みのないジョージ・コールマンさんとレイ・ブライアントさんの参加も面白いですね。コールマンさんは60年代に入って、マイルスのグループに参加して有名になる人ですが、このアルバムでは...あまりインパクトがありませんね...可もなく不可もなくといった感じです。。。
それに引き換えブライアントさんは良い!!絶好調です。自身のリーダ作にも引けを取らない快適な演奏を展開されております。彼のベストプレイと言ってもいい位の出来ではないでしょうか?
どの曲も悪くないですが、特に気に入っているのはB面の2曲です。
1曲目の「Just by Myself」はゴルソンさんの曲です。ゴルソンさんが苦手の私が聴いても良い曲は良い曲です。誰のソロを取っても言うこと無し!モーガンさんのソロも良いですね〜。多少、荒削りな部分もありますが大器の片鱗を十分にうかがわせる素晴らしいソロだと思います。大好きです。
この演奏は50年代のハード・バップを代表すると言ってもいい位の名演だと思っております。。。「turuが選ぶ名演100選」に間違いなくエントリーされる曲でございます。
2曲目「Kinfolks」は、ジジ・グライスさんの書いたブルースです。グライスさんもゴルソンさんに匹敵するほどのインテリのせいか、テーマのアレンジ部分がちょっと凝りすぎのような気もしますが、ソロパートは良いです。。。中でもブライアントさんのソロが光っておりますね〜。ブルース好きの私も納得の素晴らしい演奏でございます。
モーガンさんのアルバムの中では目立つ方ではありませんし、ジャケットデザインもあまりイケてませんが、結構いいアルバムだと思います。「Just by Myself」だけでも聴く価値あり。
先日、このアルバムをレコード棚から取り出してみたのですが、熊本の「マツフジ」レコードの袋に入っていました。ということは私が高校生の頃に買ったアルバムということになります。。。どうりで久々に聴いたのに細かいフレーズに至るまで憶えている訳だ。。。
あの頃は、買ったアルバムを繰り返し真剣に聴いてたし...脳の方も今と比べると吸収力があったし...

0