ちょっとベタなアルバムですが、週末に久々に聴きました。。。このアルバムは日本では超有名盤ですね。本国での評判は良く知りませんが...
日本での人気の高さを決定付けているのは間違いなくA面1曲目の「Cleopatra's Dream」(クレオパトラの夢)が入っているからでしょう。あの哀調を帯びたメロディーがいかにも日本人好みですよね〜。かく言う私も大好きな曲でございます...
ソニー・クラークが日本で絶大な人気を得ているのも同じ理由ですね。。。
有名な割には「Cleopatra's Dream」ばかりがクローズアップされて、他の曲のことがあまり話題にならないアルバムなので、今回は他の曲を中心に聴いてみました。。。
全体的な印象は...似たような曲が多くてダレる感じがします...同じキー(Fm?)の曲が3曲もあるし、コード進行が全く同じ曲も2曲あります...手抜きか?
A面の2〜4曲が似たような感じでマンネリ化しそうな所に、5曲目の「Borderick」を持ってきてアクセントを付けたりしていますが、全体的に一本調子に聴こえる印象は否めません...
ちなみに「Borderick」はパウエルさんの息子に捧げられた曲で、メジャーキーで書かれております。テーマの旋律をスタイルを変えながら延々弾き続けるというちょっと変わった曲ですが、嫌いじゃないです。。。パウエルさんの、息子への愛情がひしひしと伝わってきますね〜。天才パウエルもやっぱり人の子...妙に印象に残る曲です。。。
ベストトラックは、B面1曲目「Crossin' the Channel」で決まりでしょう。。。曲としては「Cleopatra's Dream」の方が全然上だと思いますが、タッチの正確さといい、ミストーンの少なさといい、彼の全盛期を彷彿とさせる素晴らしい演奏だと思います。テンポもアルバム中で一番速いですし。。。
明らかに不調を感じさせる曲の多い中、「Crossin' the Channel」の出来の良さは群を抜いています。。。一枚のアルバムの中ですら好/不調の波があること自体、当時のパウエルさんの不安定さ(精神的/肉体的な)を物語っていると思いますけどね...
あと、今回聴いて気付いたのは、アート・テイラーさんの好調なプレイ振りですね。
テイラーさんはアルバムを通してブラシだけを使っておりますが、この選択がこのアルバムの雰囲気にぴたっとはまっております。彼のブラッシュ・ワーク。。。めちゃめちゃ格好良いです。
確か寺島靖国さんだったと思うんですけど、何かの本でこのアルバムのテイラーさんのブラシをけなしておられた記憶があります...私は全然イケてると思いますけどね〜。
パウエルさんの作品の中では、出来の悪い部類に入るアルバムだと思いますが、「Crossin' the Channel」は一聴の価値があると思います。「Cleopatra's Dream」も日本人の琴線にビンビン響きますし。。。

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