Dear Friend,Gentle Heart
ター坊とワタシ  昔話

この年まで生きていますと、
結構、有名人と出くわす経験もあります。
そういう経験をいつかここに書こう書こうと思っていて、
なんと残念なことに、
最初にター坊のことを書くことになってしまった。

ター坊は、すばらしく歌がうまかった。声も良かった。
ジャニーズでは、あおい輝彦が一番上手かったが、
フォーリーブスのター坊の歌い方は、抜きん出ていて、
クラッシックのような正統派の、上品な美しい発声だった。

その歌唱力は「壁の向こうに」で炸裂したと思う。

高い壁のその向こう
  背伸びしてみても
    なんにも見えないけれど
      すばらしい夢が

この歌は、短い1本のミュージカルである。
この歌を聴くたびに、ごろ寝はター坊の声に酔った。

だから僕は壁を乗り越えていく
  例えそれが辛く苦しくても
    いつかきっと小さなこの僕も
      壁の向こうの幸せを見つける

高く厚く、延々と続く壁が眼前に立ちはだかっている。
私はそれをよじ登り、壁のてっぺんにたどり着くと、
眼下の広い何もない地表のはるか向こうに、
まさに太陽が今地平線の上に顔を出さんとしている、
そのまばゆい光景が、いつも頭の中に浮かんでくる。




歌はジャンルを問わず大好きだったが、
あまり歌手には執着がないほうだと思う。
あるのは、美空ひばりぐらいでしょうか。
だから、歌手のステージを観に行くことがほとんどなかった。
よく行ったのは、ひばりと越路吹雪ぐらい。
フォーリーブスの生ステージは、一度も見たことがない。

中学1年の夏。

フォーリーブスが池袋のHプールで撮影するから、
いっしょに行ってくれと、
ター坊ファンのさっちゃんにせがまれて、行きました。

プールは若い女の子でごった返しておりましたが、
水着になって泳ごうなんてのは、ごろ寝ひとりだけ。

歌番組の撮影ってか、あのころだから中継か、
伊東ゆかり、カルメン・マキ、クールファイブの皆さんが、
スタンバイしておられます。

遠巻きに見ているファンを尻目に、
スタスタとタレントに近づいて、
「握手お願いします!」と言っているのは、ごろ寝だけ。

タレントさんもぽかんとしていましたが、
みなさん快く握手してくれました。

ちなみに「有名人とワタシ」で、書こうと思った3名、
伊東ゆかり、カルメン・マキ、クールファイブは以上で終わり。
クールファイブは、プールの中州のような所でスタンバっていたので、
そこまでバシャバシャ泳いで行き、手を出したら、
前川さんもきょとんとしていましたが、しゃがんでくれて、
ちょっと袖を上げて、プールの中と外で握手しました。

ひととおり握手がすんだので、ガラ空きのプールで悠々。

やっぱ、撮影に来てるんだから、泳いでる人がいなくっちゃ、
と、けっこう張り切って泳ぎまくってました。
あんまりバシャバシャはしないように、すい〜すい〜と。
映ってるといいな〜と思いつつ。

撮影の合間の休憩時間には、待ってました!とばかり、
ファンの女の子たちが、フォーリーブスをどっと取り囲みます。

そうだ!さっちゃん忘れてた!
さっちゃんは、どうしたかな〜と探しますと、
人だかりの外側でウロウロもたもたしているではないか。
なにやってんだよ〜わざわざ来たのに!
プールから上がって、濡れたからだでファンをかき分けかき分け、
ずんずんとター坊に近づくアツカマシイごろ寝。
壁に押し付けられるようにして立っていたター坊の右に、
ぴったりと寄り添って、「さっちゃ〜ん!さっちゃ〜ん!」
さっちゃんを呼んで、隣に立たせてあげました。
さっちゃん、嬉しそうになにかター坊に話しかけていましたな。

これでよし。
さて、また泳ぐか〜
流れるプールも独り占めですからね。

ふと見ると、人だかりの中からター坊が現れて、
こちらに手を振っている。
思わず後ろを振り向いたけど、誰もいません。
「んあ?わたし?」人差し指で自分の顔をさすと、
「そうそう、君!」プールの中をぬれた顔を拭き吹き近づく。
「はい。。。。」
「君、いくつ?」
「13歳です。」
「ふうん」

ター坊は、なにか納得しないような顔で、
またファンの群に戻っていきました。

あとで、さっちゃんに
「ター坊と何はなしていたの?」
やっかまれたのは言うまでもありません。

ター坊、声かけてくれてありがとう。

病気で辛かっただろうけど、
最後の最後まで歌があって、
フォーリーブスがあってよかったね。
歌えないなら、生きていても。。。。って、
そんな気持ちでがんばっていたんだろうな。

ご冥福を祈ります。




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