☆村山将棋の特徴のひとつに、中終盤の乱戦に強いことがある。何しろ詰将棋パラダイスの大学院などの難解作の検討を依頼されていたくらいだから、鍛えが入っているのだ。コツは選り好みしないで「あらゆる詰将棋を解く」ことにあるだろうと思う。

<ヒント>次に△6五金と△6六金のねらい。三手一組で答える。
☆村山聖の思い出D 入門の頃
村山君と一緒に住み始めて、食事は(夕食)ほとんど外食にした。JR福島駅のガード下にある「更科」が多かった。村山君はたいてい「焼き魚定食」で私が「野菜炒め定食」だったように思う。
ほとんど会話もなかったので、店の人は親子のように思っていたらしい。私が驚いたのは魚を標本のようにきれいに食べることと、醤油だった。かすかにポトリと一滴落として魚につけるのだ。
一口一口ていねいに食べるのが印象的だ。村山君は食べ方も上品だった。病院でもそうだったが、いかにもおいしくなさそうに、でも味わうように食べていた。
ネフローザは塩分が禁止で、でも外食は塩分が多いのが悩みのタネだった。自分で尿の数値を計りながら調整したようだ。
朝はパンだったが、昼も給食がなくて、たいていパンを学校で買っていたように思う。
歩くのも普通の人の速度の5分のいくらいだろうか。特に階段の上り下りは神経質なくらいで、人の10倍くらいペースを落としていた。初めは一緒に歩くのが大変だったが、いつしか村山歩幅の感触をつかんでいた。
将棋を指すときは豪放緻密なイメージだったが、暮らしではゆったりとしていたが、どちらかいうとか弱い印象だったのだ。
家にいたりしたとき、ときどき小さな鼻を私のからだにくっつけてきて「動物はこうやるんですよ。ゴロゴロ、コロコロ」などと擦り寄ってきた。まだまだ子どもでもあった。
No11第1問解答
▲6四銀△同歩▲3六桂

三手進んで見るとなるほどとわかる。巧みな切り返しで局面をリードした。

21