☆No12第3問
☆村山聖の思い出
奨励会試験
村山君は奨励会試験を5勝1敗で通過したが、事情があって入会できなかった。このことに関して今となってはむしろ懐かしい思い出でもあるが、当時は私もどう対応するかきつかった。その翌年は新たなスタートとなったが、5勝1敗でクリアしてくれた。
そのときは試験の成績のことを考えていなかった気もする。要するに成績が悪くて受からないケースを想定したことがなかったのだ。今思うと薄氷を踏む思いだったのだが、村山聖の将棋はとにかく終盤がしぶとくて粘り強いので、長引けば勝ちのパターンだった。
「村山君の角損で形勢が悪いですね」と教えてもらったが、しばらくすると「粘っています。持ち直しています」そして「とうとう逆転しました」そんな感じだった。
私は当時奨励会の幹事だったのだが、村山君の将棋は一切見なかった。自分が全体の幹事であることと、心配もあるが、形勢がよくないことが多いので観ていられない・・のである。
奨励会試験が終わり、合格してほっとした記憶がある。一年遅れのスタートだったが、ひとつの壁を越えた思いでうれしかった。

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