☆大捌きは大局観がしっかりしていないと、あっという間に負けになってしまいます。細かい分れよりもいっそう、形勢判断の重要さが現われますね。
<ヒント>大捌きをねらう
☆村山聖の思い出A
入門のいきさつ
村山聖が奨励会受験には合格したのに、奨励会に入会できない。このときのいろんな話は今思い出しても、自分にとってはある意味で人生ではじめての試練でもあった気がする。事実関係や内容について、自分なりの思いもあるが、私は決して誰を恨むとか、そういう気持ちは当時も今も一切ない。
ただ、自分がそのとき、棋士を辞めてひとりの少年をもかばいたい、何故そこまで思ったのか、今考えても不思議な気がする。
生々しい現実の出来事に面しているときは、少しでも打開策を考えて、何とか解決の糸口をつかみたい一心だったのだろう。
冷静に考えれば、違う手立てもあったかもしれないが、それは未熟な自分にとって無理だっただろう。
結局、私の師匠も間に入り、この一年を我慢すれば、全く白紙の状態になる、そんな結論になった。
聖の青春を読んで、村山少年がこのときどれほどのショックを受けていたかを知った。そして当時は私自身も眠られない日々を過ごしていたのである。
村山君を大阪に引き取る決心をしたのはそのときだった。責任を感じるとかそういう理由でなくて、それしか手段がないと思ったような気がする。

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