この日は、筆者が行きつけのバー、蒲田のショットバー・ふくろうにて
「ふくろう寄席」。
もう20回以上の会を重ねたこの落語会、創設にちょっとだけ関わったこともあり、時間の許す限り顔を出している落語会である。
いつもは大田区出身の「三遊亭時松」さんが高座を務めるのだが、春の真打昇進が決まった時松さんが忙しいということで、時松さんとも仲が良く、コチラのバーで二人会も開いたことのある「桂三木男」さんが高座に上がる。
彼は祖父が名人と謳われた三代目三木助、叔父が若くして亡くなられた四代目・三木助と落語会のサラブレッドと言っても過言でない血筋。
入店し、落語が始まる前に、まずは「ウオッカリッキー」。
筆者にとっては今やバーで呑む酒の定番だが、いまや、この店でウオッカリッキーを注文するのはあたしぐらいのもの

。
ゆっくりとウオッカリッキーを呑んでいると一席目の落語が始まる。
三木男さん、まだ30代前半で若々しさと同時に勢いがあり、江戸弁が自然。このあたり、やはりサラブレッドなのだと思う。
ネタは、わかりやすい「子ほめ」。父親に連れられた小・中学生の兄弟も来ていたが、きっと落語に興味を持ってくれたはずである。
そして「子ほめ」のあとは高座から下りずに続けて「棒鱈」を演じてくれて中入り。
さて、筆者はスコッチ・スペイサイドの「グレンリヴェット」をロックで。
コチラの銘柄はスペイサイドの基本ともいえる銘柄でピート臭がほとんど無く、マイルドな味でスムーズなノド越し。もちろん、ロックなのでアルコールはキツイが、クセが無く呑みやすいスコッチ。
そして、こちらの店では「ロック」の氷を丸く削ったモノを使ってくれる。これは見た目にも良いが氷の融け具合に、ムラが無く均一になり美味しいロックが楽しめるのである。そういったちょっとした気づかいが嬉しいお店でもある。
さて、中入りが終わり落語は三席目。ネタは、大岡越前の出てくる「三方一両損」。こちらは粋というか勢いのある江戸っ子が主人公のいかにも「江戸落語」。有名な「大岡裁き」の話し。
これもわかりやすく「江戸っ子」の見栄とやせ我慢・空威張りのセリフが楽しいにぎやかな話し。時代劇のコメディを見ているような気分である。
さて、落語・三席目がハネる。
筆者は、アルコールをアイリッシュウイスキー「ジェイムソン」のロックに代える。
コチラもピート臭が無くグレンリヴェットと同じようにマイルドでスムーズ。ピート臭が苦手な筆者には相性の良い。
着替えた三木男さんがカウンターにいらっしゃり、しばし、お話しをさせていただく。
こちら、シロウトではあるが、酒の勢いで生意気にもちょっと昔の落語の話しなどプロを相手にグダグダと話しをしてしまった

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そして、実は今年の「初落語」がこの日。
昨年・一昨年と1月3日に浅草の東洋館で初落語していたが、2回とも入ろうとすると当代・三平師の高座。
「初落語」が三平師では縁起が悪いので、会場に入らず他の噺家が高座に上がるのを待ったのだが「今年の初落語は三木男さんで良かった!」と言うと聞こえないふりをされていた。
落語家としての実力はどうであれ三木男さんにとっての三平師は曲がりなりにも「先輩」に当たるので彼の立場では致し方ない。三木男さんには申し訳なかったと思う次第。

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