あんバタ子さんとの突然のお別れを知ったCindyは
慌てて中目黒のパン屋さんに行ってきました。
昨年からは原宿でも会えるとのコトで安心していましたが、
なんと、原宿のお店もすでに閉じられていたのです!!
「もう会えなくなるなんてイヤだよ!!」
おいしいパンとケーキのお店
opatoca (オパトカ)
入り口の側に掛けられていたトートバッグを横目に
お店の中に入るCindy・・・
お店の一番奥にも彼がいました。
そう言えば、Cindyも一人連れて帰りましたね・・・
あれは確か・・・そうです、
「オパトカの日」と名付けられたときのコトでした。
でも、この彼はちょっと違っているように見えました。
Cindyはショーケースの側にいるこの彼に、
あんバタ子さんのコトを聞いてみました。
「あんバタ子さんを捜しているんだけど・・・」
「もう、ここにはいないよ」
彼と別れたCindyは、opatocaに来る度に
いつも連れて帰るとっても大好きなお菓子に会いました。
「スコーン」
チョコチップがたっぷりと入ったホロホロサクサクの
とっても甘くて美味しい「スコーン」!!
食べ応えも満点で、このお店にぴったりの焼き菓子です♪
「チビたちが知っているかもしれないよ!」
と言って、スコーンが教えてくれた先にいたのは・・・!!
「スコーン・ミニ(チョコ&抹茶)」
ちっちゃなちっちゃな可愛いスコーンの兄弟です。
チョコにはパパと同じ、濃厚チョコチップが・・・
抹茶にはまろやかホワイトチョコチップが入っていました。
「ねえ、あんバタ子さんを知らない?」
「もしかしたら、“鬼”と一緒だったのかも・・・」
「でも、大丈夫、あなたならきっと見つかるよ!」
「ありがとう、ちっちゃなスコーンさんたち」
次にCindyは、今まで見たコトのないパンに出会いました。
「キャラメルチョコパン」
シンプルな小さめのまん丸パンを割ってみると・・・
中には粒々&しっとりのキャラメルクリームが入っています!
甘くてミルキーな濃厚キャラメルクリームは
スイーツ大好きCindyが一瞬でとりこになる美味しさ!!
しっとりクリームはシンプルなパンとの相性もバッチリで、
Cindyは彼のコトがすぐにお気に入りになりました♪
「キミは初めて見かけるけど・・・」
「最近やって来たんだ・・・でも、もうすぐ・・・」
「そうだったね、せっかく会えたのに残念だよ」
「この先が“鬼”のいる場所だよ!!」
「ありがとう、キャラメルさん♪」
まん丸キャラメルパンと別れたCindyは・・・
いよいよ、“鬼”のいる場所へとやって来ました。
「鬼・紫」
最初に出会った鬼は、やや短めの茶色いゴツゴツした
棒を持っていました。
驚いたコトに、この棒はやわらかくて、
そして、とっても甘い香りがするのです♪
二つに割って中を見てみると・・・
ゴツゴツが棒の中にもあるじゃありませんか!!
美味しそうな甘い香りに耐え切れなかったCindyは、
思い切ってその棒を口の中に入れました!?
モグモグ・・・ジャリ?ジャリ?・・・美味しい♪
なんとこのジャリジャリした食感の正体は、
“ドライいちじく”だったのです!!
ふんわりした甘いパンにもこのいちじくの香りが
感じられて美味しいのですが・・・
ドライいちじくの独特な濃厚でねっとり&ジャリっとした
フルーティーな甘さは思わず病みつきになりそう!!
もう、なってはいけないのに・・・
親切にこの棒を差し出してくれた鬼と別れたCindy。
次に控える鬼は、
“金棒”を携えると言われています・・・
「鬼の金棒」
出ました・・・正に、
鬼の“金棒”です!!
先ほどの棒の倍はあろうかと言う、非常に長い棒には
黒いトゲトゲがビッシリと棒の一面についていました。
(これで叩かれたらひとたまりもない!)
そう思ったCindyですが・・・
なんと、この鬼も金棒を割ってCindyに渡しました。
「このトゲトゲ、甘くて美味しいよ!!」
「見ての通り、これはチョコチップで出来てるんだ」
チョコチップたっぷりの金棒はボリュームも満点!!
すっかりお腹も満足になりました♪
「怖いと思ってたけど、ここの鬼はみんな優しいね」
あんバタ子さんがどうして鬼たちと一緒だったのかが
少し分かった気がしたCindyは、鬼と聞いただけで
心配や不安になった自分が少し恥ずかしくなりました。
そして、ついに・・・
「あんまちゃ子」
「あんまちゃ子さん、やっと会えたね!!」
そうです、妹のあんまちゃ子さんのコトも心配だったのです。
シンプルなお姉さんに比べて、
練乳のようなとっても優しくてスイートな性格ですが、
時にはほろ苦い抹茶のような一面も覗かせる妹さん♪
「やっぱり二人一緒じゃないとねっ!!」
これで最後なのかと思うと寂しさでこれ以上言葉が
出てこないCindyです・・・
そして・・・妹のすぐそばには・・・
「あんバタ子」
「ねえ、もうキミに会うコトは出来ないの?」
「・・・・・・」
「寂しいよ、せっかく知り合うコトが出来たのに・・・」
「でも、もう行かなくちゃ・・・」
「そんなのってないよ〜!!」
「じゃあ・・・」
・・・と言って、悲しそうに言葉を続けました・・・
「寂しくなったら目をつぶって私の事を想像して」
「目を・・・つぶって??・・・」
「きっと、今までの楽しかった事が思い出せるから」
Cindyは、前に読んだ本の一節を思い出しました。
大事なモノは目には見えない
きみがバラに費やした時間だけ、
バラはきみにとって大事なんだ
Cindyは心の中でつぶやきました・・・
「僕がopatocaに費やした時間だけ・・・」
「opatocaは僕にとって大事なんだ・・・」
「あんバタちゃ子!?」
「食べ物で不謹慎なっ!!」
・・・って、怒られるかも知れませんが・・・
いつもこうやって、
“合体”させていましたっけ♪
これで最後になりますが、opatocaの食パンには
たしか近隣の?小学校の名前がつけられていましたね。
小学校と言えば・・・
Cindyは小学生の頃、給食の食パンやコッペパンが苦手で
なかなか食べ切る事ができませんでした・・・意外!?!?
opatocaのパンは、そのネーミングとは裏腹に、
一見するとパンの形はとってもシンプルです。
そう、まるであの時の小学校の給食のパンみたいに・・・
で、その一見シンプルな形のパンの中には、
とっても美味しくて、すっごくワクワクしてくる・・・
“お楽しみ”が、い〜っぱいつまっている気がします♪
こんなパンが給食に出ていたら、小学生の頃のCindyも
もっともっとパン大好き小学生になっていたかも知れません。
もう、opatocaのパンを見る事(そして食べる事!)は
できなくなってしまいましたが・・・
「大事なモノは目には見えない」
目をそっと閉じてみると・・・
緑溢れる目黒川に沿った古びた建物のいちばん奥に
ひっそりと佇んでいる“おいしいパンとケーキのお店”で
とっても個性的で愛らしいパンやお菓子のみんなが・・・
いつまでもみんな楽しそうに微笑みかけてくれるのです♪
ずっと、ずっと、いつまでも・・・
おいしいパンとケーキのお店
opatoca (オパトカ)
中目黒の方たちに長年愛され続けた
ラ・ブランジェ・ナイーフはすでに無く・・・
HUITのパン職人さんは上野毛にOpenしたカフェに
行かれてしまったそうです・・・
そして、opatocaまでもがクローズした今・・・
Cindy好みのパン屋さんは、
中目黒からもう消えてしまったのでしょうか?