「僕知らないもん!僕やないもん!」真っ暗な屋根裏部屋へ続くハシゴ階段の先から追い詰められた男の子の声・・。
ある時、弟と二人でデパートに出掛けた。まだ僕は7才くらいだったろうか。オモチャ売場で仮面ライダーのオモチャを見てた僕はおもむろに、それを手に取り、近くの店員に聞こえよがしに「あ、これ買ってもらおう!お母さんどこ行ったけな?お母さぁん!」そのまま外に出てしまった。盗れた・・。しかも簡単に・・。弟と合流した僕は事の顛末を弟に聞かせる。弟よ!我ら欲望を満たす道を今見つけたり。その日を境に急速に鎌倉家のオモチャは増えていった。仮面ライダーはシリーズものだ。日に日にライダーが勢揃いしていく。日に日にテンションの上がってく僕ら兄弟だったが、一方で親が確実に抱き始めた不審感に気付かなかったのは、単に僕らが若すぎたからだと思う。ある日、学校から帰ると母と祖母が2階から屋根裏に向けて声をかけてる。「僕知らないもん!僕やないもん!」真っ暗な屋根裏部屋へ続くハシゴ階段の先から追い詰められた男の子の声・・。しまった!弟だ!しくじりやがった・・。しかも籠城・・。「ねぇ、太郎。これらのオモチャ、あんた心当たりない?」と母。「(僕)・・・・・・・・・・いや、知らないなぁ。おい!陽介!いい加減観念して降りてこい!」 「(弟)だって!太郎君だって一緒に盗ったやん!」 「(母)太郎・・、その話、ちょっと詳しく聞かせてもらおうか・・。」

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