「鎌倉さん!女の子からメール返ってきません!」
邦(くに)さんは苦笑しながら僕に報告する。邦さんは無遅刻無欠勤、大きな声で誰に対しても深々と挨拶する、九州出身の気のいい26歳の若者である。しかし悲しいかな、世の女の子ってのはどうも、真面目で気のいい、いわゆるいい人はお気に召さないらしい。彼はご多分にもれず、彼女という存在に今まで恵まれた事がない。何?どんなメール送ったのよ。ちょっと見せてみ。断りをいれて彼の送信メールを見せてもらう。
〔〜(中略)。分かりました。もうたのみません。もう電話番号も消します。〜(以下略)〕
ん!?これはどういう状態で送ったの?
「(邦さん)あ、これはですね!一緒に音楽やりませんか?って送ったら、断りの返事が返ってきたんで、冗談まじりに僕が送り返したメールです!」
いや!ちょっと待って!!これじゃあ、まずいよ!これじゃあ、邦さんが怒ってるように相手は受け取っちゃうよ!
「(邦さん)そうでしょうか。」
いや、そうだよ!いい?メールってのはとても便利なものだけど、相手の表情や口調は見えないよね。だからこそ文章に表情つけてやらないと、絵文字とか、顔文字とか…せめて、『(笑)』とかさあ。使ったりしないの?
「(邦さん)んー…僕…嫌いなんですよね…絵文字…」
「(僕)でもそうしないと、絶対、冗談だって通じてもらえないよ!だからそうだなぁ…俺なら…」
〔〜(中略)

わかりました


もうたのみませんっっ


(笑)。もう

電話番号も消しちゃいますっっっ(大笑)


。(以下略)〕
…とまあ、ざっとこんな感じかな。
「(邦さん)ほんとにこれ…大丈夫ですか…」
「(僕)大丈夫だよっ!!何、不安がってんの!?あ…あと最後に

もつけとこう!」
「(邦さん)・・・・」

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