『プロフェッショナル〜仕事の流儀』というNHKの番組をご存知かしら。毎週あらゆる分野の第一戦で活躍している日本人プロフェッショナルにスポットをあてた番組。ある週は三ツ星シェフ、ある週は世界的建築家、ある週は外国で活躍するプリマドンナ、ある週はイチロー…。僕がいつからか毎週録画するようになった番組である。
今週は映画監督の堤幸彦さん。ドラマ『金田一少年の事件簿』で脚光を浴び、その後『ケイゾク』、『トリック』を撮り、今公開中の『スシ王子』もこの監督の作品である。
番組は吉永小百合さん主演の映画の撮影現場を流している。ラストシーンで楽しかった夫婦の思い出が沢山つまった地で吉永さんは泣きの演技プランを持ってくる。リハーサルだというのに泣いてみせる吉永さん、やっぱ凄いわ。それにやっぱ綺麗やね。この人は…。
しかしこの吉永さんの演技に迷いに迷ったあげく提案をする監督。
「吉永さん、あのカット、涙を流さない方がいいんじゃないですかね?僕としてはこの地に対して楽しかった、ありがとうって風にしたいんですよね。」
「(吉永さん)あ、そういう方向で。分かりました。元気なほうで。」
『そういう方向で』、『あ!そっちのほうですか』
役者をやらせてもらってると非常によく使う言葉である。自分の表現が監督や演出に受け入れられなかった時、役者はすぐに『分かりました』とセットにこの言葉を口にする。しかし言葉とは裏腹にいざやってみると中々出来ないものよ。これって!いくら大女優、吉永小百合といえど、『そういう方向ですか』、なんて簡単に出来るもんじゃ…、出来てるやんっっ!!画面の中、めっちゃ素敵な吉永さんの微笑み…。やっぱさすがです!小百合さん!
番組最後
『あなたにとってプロフェッショナルとは?』
の質問。堤監督答える。
「どんな逆境にあっても楽しめる事。楽しめる人をプロフェッショナルというんだと思います。楽しむという事がプロフェッショナルの基本だと思います。」
逆境というのは辛く苦しいもの。やる気や時には希望をすら奪いかねないもの。そんな中でも楽しむ事が出来る心の支えは、やっぱり『その道』が好きだという強い強い想いなんでしょうなあ。

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