さて今回、僕は小道具係りを任されている。これがかなりしんどい。室内劇なので、やたらと小道具が多いのだ。
おちょうし、おちょこ、湯呑み、灰皿、掛け軸、うちわ、荷物、キセル、本、お盆、せんす、座布団…数え上げればきりがない。
「俺のつかう〇〇どこにある?」と聞かれりゃ、膨大な小道具から捜しだす。捜し易いよう整理もしておくが、元来整理整頓の苦手な僕にはひと苦労。
「ここで机にかけるテーブルクロスが欲しいなぁ。太郎、テーブルクロスない?」
演出家が言う。テーブルクロスは持って来てないです。と答える。
「いや、『ない』じゃなくて手に入るようにしてくれないかなぁ。」
と演出家。あのさぁ…俺これでも『役者』として参加してるんですけど…。小道具の管理はするけど、そういう事はスタッフに頼んでよ。セリフの確認やら何やら『役者』としてやりたい事もあんのよ。
舞台稽古始まるまであと小一時間。自転車飛ばして劇場近くの雑貨屋さんへ。田んぼのあぜみちを行く。内心イライラが募ってはいるが、景色に惹かれ一枚収める。
テーブルクロスはあるにはあったがナイロン生地だ。テカテカしてるが一応、買って見せてみる。ナイロンしかなかったんですが、これでいいですか?即オッケー。早速汚しをかけてもらい、別の用意にいそしむ。数10分後、「テカテカしてナイロンなのがバレバレなので却下になりました。」との報せが入る。
だから言ったのにぃ。これでもいいか?って。汚しもかけちゃったし、返品も出来んわ…。


0