福岡には『中洲(なかす)』と呼ばれる有名な歓楽街がある。東京で言えば歌舞伎町のような所か。
その中洲にあるのがアミューズメントパーク(って言うのかなぁ)、『キャナルシティ』だ。確か東京にもあったはず。前にブログにも書いたが、僕は福岡公演の際は必ずと言っていいほど、ここに来る。そしてこの施設内で映画を観るのが楽しみ。
今日は寝坊することなく『ドラゴンキングダム』を鑑賞!少なくとも僕の予想を超えてた出来に満足して帰るのだが、この『キャナルシティ』からホテルへの帰り道、通らなければならないのが、沢山の呼び込みの待つ『風俗街』である。つまるところ、『ソープランド』と呼ばれる艶っぽいお風呂屋さんが軒を連ねる通りである。女性の為に出来るだけ上品(?)に説明すると…その…なんだ…要するに女性と一緒にお風呂に入り、性的奉仕を受けるお店である。NHKのような表現だが。
僕はハンドバッグを提げてこの通りをつっきる。別にバッグは必要ではないのだが、手ぶらでこれらの店の前をぶらついてると、お店を捜してるものと見られ、客引きが寄ってくる。その為、バッグを肩に背負い足早に歩いてると、帰宅途中のように思ってもらえるらしく、声のかかりが少ない気がするのだ。ただの僕の思い込みかもしれないが…。
とはいえ、客引きは次々に話しかけてくる。
「(客引き@)お兄さん、ソープは…」
「いえ。」
「(客引きA)どうですか?可愛い娘いますよ。」
「いや、結構です。」
「(客引きB)お客さん、ソープお探しですか。」
「いや、大丈夫です。」
「(客引きC)ヘイ。ミスター!オーケー?」
「俺、日本人だよ!」
何とか通りを抜ける。いやぁ、大変な通りだわ。しかしこれでもう、あとはゆっくり歩いて帰れる。
「ヘイ!アーユージャパニーズ?」
だから、日本人だって言って…
振り返ると川村君ぐらいあろうか、長身の外国人である。これをどうぞ、とビラを渡される。話を聞くに彼はボストンから来たミュージシャンでビラを配りながら自費製作したCDを売っているらしい。ニット帽を深く被りヒゲを蓄えた僕の様子は彼にも特異に見えたらしく
「アーユーミュージシャン?」
と聞いてくる。
「ノー。アイムアクター」
「オー!アクター!ムービーアクター?」
「ノー!ノー!ジャストオン・ザ・ステージ!」
彼はライブについて色々説明してくれるが、僕はリスニングは苦手だ。聞き取れたのは「シモキタザワ」「ヤマナシ」くらい。制作費やら印刷代も大変だ。よかったらCDを一枚買ってくれないか、という。
「ハウマッチ?」
「キモチダケ」
どうやら値段はつけないらしい。遠い異国の地で自分のやりたい道の為に努力している彼の頑張りに、千円とこのCDを交換した。
色々互いに大変でしょうが、頑張りましょうね。


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