「今日はかなりがっつきますよ!」
とある都内のファミリーレストラン。メニューを見てる僕の向かいで川村君が、そう意気込んでいる。お腹を随分すかせてるらしい。「鎌倉さん、もうお決まりですか?ボタン押しますよ。」
僕はいつも決まってる。この『メニュー』という奴はしばしば人を優柔不断にさせるようだが、僕はあまりこれには悩まされた事は記憶にない。
“ピンポーン!”
ウエイトレスさんがやってくる。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ええと…、ガーデンサラダと、パンプキンスープとほうれん草のオーブン焼き…と、ペペロンチーノ…タラコソースのスパゲティーと、若鶏のグリル焼き、ライスもつけて下さい…と野菜とキノコのピザ…に、ドリンクバーを二つ。あ、あと食後に抹茶とミルクのグラニータ。以上で。」
10分後、たった二名のテーブルに続々と、テーブルいっぱい所狭しと料理が運ばれてくる。
「川村さん、なんかこのテーブルだけ中国皇帝の食卓テーブルみたいになってますけど大丈夫ですか?」
「確かに若干そんな感じですね。」
「俺ら若手のつもりでいますけど、世間的には二人とも30をとうに越えたおっちゃんな訳じゃないですか?いつまでもこう、腹ぺこ若手キャラってのもどうかと思いますが…。」
「まあ…そうとも言いますね…。」
「この量はあまり…30を過ぎたおっさん二人の量にしては多過ぎるんじゃない…あ、また来た。もはや漫画『北斗の拳』のサウザーのテーブルみたいになってきましたよ。」
料理運んできたウエイトレスさん、若干笑ってるし…。


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