「あ…カマ!CMと言えばやっぱ俺も嫌いだわ!あのガムのCM…。」
ブラボーレギュラーの佐藤さんも僕にたてつく。
「(佐藤さん)なんかあのCMムカつくんだもん!」
「(僕)いや!でもあのCM…」
「(佐藤さん)お前、ああいうCM好きなの?」
「(僕)あ!でもCMと言えば最近、野茂さんめちゃくちゃ太りましたよねぇ。あれじゃ…」
「(佐藤さん)まあ、逆に言えばそれまでを相当鍛えてたって事だろうな。」
「(僕)そうでしょうね!鍛えてた分、そのリバウンドが来たって言うか…」
「(佐藤さん)でも俺、ファン太郎は嫌いじゃないよ。」
「(僕)佐藤さん…あなた…。」
歯医者へ向かう。週末にはお天気崩れるというのに、多摩川の川べりにはキャンプを楽しもうとテントも見える。
(佐藤さん、また多摩川にゴールデンウイークが来ましたよ…。)
普通の人ならたいした騒ぎでもないのにスーパーアイドルだというだけで大きな事件として扱われる草剪君にあなたはよく同情してましたね…。
{ほんと、たいした事じゃないのにさぁ、可哀相だよね。}
{ほんと、たいした事じゃないのにさぁ、可哀相だよね。}
{ほんと、たいした事じゃないのにさぁ、可哀相だよね。}
僕の脳裏に何度も消えては甦るは『同情する佐藤さん』の姿。
{ほんと、たいした事じゃないのにさぁ、可哀相だよね。}
巻き戻しては再生される脳裏映像が消えるまで僕は多摩川を見つめ続けた。
「ふ…佐藤さん…あなたもしつこいな…。」
時計は予約時間遅刻確実の時間を指していた。


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