僕は保坂君の身の上を心配している。明晰な頭脳の持ち主はその切れ過ぎる頭脳故に権力者から命を狙われる事は歴史を紐解けば古今東西、明白な事実である。
「(僕)君は少々頭が切れ過ぎる。常々僕は君の身の上を心配しているのだ。近頃、不審な影を目撃したりはしてないかね?」
「(保坂君)ははは。殿。心配なさるな。私、毎夜星空を見上げるに、私の星はまだ寿命が尽きてはいない様子です。仮にもし私が凶刃に倒れたとすれば、しょせん私はその程度の天命の男だったという事でしょう。」
「(僕)しかし…しかしだね…保坂…」
「(保坂君)あ!そういえば!殿…面白い話がありましてね…」
そう言いながら彼は『機動戦士ガンダムの世界観における粒子論の一考察』を語り始める。
「ガンダムの年代設定は『宇宙歴』となってまして、今の西暦に合わせると現在から500年後の未来がガンダムの時代設定になってます…」
(保坂…だから…だからな…)
「(保坂君)現在の科学を持ってすれば数百キロ数千キロ離れた物体をボタン一つでピンポイントで破壊出来ます。なのに何故、今から更に500年後の未来の闘いにおいて、わざわざ『モビルスーツ』なるロボットで白兵戦を展開しなくてはならないのか…」
(保坂…危ないって…頭良すぎると…)
「(保坂君)つまり、ある粒子によってGPSのような探知が阻止されてしまうのです。」
「(僕)ははは!頭の悪い僕にはよく解らんわ。あ!しかし科学といやあ最近、水を一切使わなくても汚れを落とす洗濯機あるんだってね!水を使わない洗濯機なんて、本当、どんな仕組みなんだろうね!」
「(保坂君)あの洗濯機…実は空気中に存在する水分を利用して汚れを落とすのです。だから正確には水を使わないのではないのです。」
「(僕)それは…解り易く言っちゃえば湿気を利用して洗うって事?」
「(保坂君)そのようですな…。空気中の目には見えない水分を繊維の中に滑りこませ洗うらしいですな。」
保坂…頼む…一分…いや一秒でもいい!俺より長く生きてくれ。

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