稽古場に向かう。自転車は駐輪場に。僕は駅に。
はたと足を止める。駅前だというのに軽く1.2メートル以上はあろうかという蛇が堂々と這っている。
蛇というのはめったにお目にかかれないものだから僕を含めた周りの人間はしばし蛇に見入っている。通りがかりの通行人も振り返って見ている。目の前の店からは従業員のおばちゃんが店からでてきて見ている。
しかし蛇というのは実に器用に地面を這う。いや、這うというより滑っているようにも見える。左右にくねりながらなのに驚く程、合理的に前に進む。まるで羽田空港内の出発到着ロビーに続く自動廊下のようにすいすい進む。地面を泳いでいるよう!
そのまま近くの木に登り始めた。どうしてだろう!?どうして手も足もないのに落ちる事なくスルスル登れるの!?なんだか地面に引力があるというよりその木に引力があるみたい!!
中国では大昔、竜が天空に昇る夢を見ると良い事が起こる兆しとされた話を聞いた事がある。
今僕が見ているのは『竜』が『蛇』に、『天空』が『3メートル位の木』に、と随分格下げされてはいるが良い事あるといいなぁ!!

1