無名塾に向かう。その途中、電話が震える。携帯の小さな窓に
【お父さん】
と表示。
(健吉さんからやな。)
電話にでる。
《おおー!お父さんや。元気でやりゆうかや?今、電話、かまんが(かまわないか)?》
《えいよ。どうしたが?》
《お前!インターネット見たぞ!お前、お父さんの事、書いちゅうにゃあ!》
おそらくここで健吉さんの言う、インターネットとはブログの事であろう。
(とうとうばれたか…)
《お父さん、アホみたいに書かれちゅうやんか!》
(もはやこれまでか…)
《あの書かれようはアホみたいやぞ。》
(是非に及ばず…)
《あ!でも!でもね、お父さん!あのブログのおかげで読者の中にも結構、健吉さんファン多いみたいで!》
《…………そうか。》
《お父さんから来た、葉書のブログを読んで、ブラボーの座長の福田さんも
『お前のオヤジ、いいオヤジだな』
て言うちょったし!》
《そうか!》
電話の向こう、1000`離れた健吉さんの声の若干嬉しそうな音色にとりあえずの危機回避を確信した僕は引き続き塾に向かう。

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