意地悪な牧師さんが終わると僕はもうひとつの役、『タンギー』に変身せねばならない。
ゴッホ以外にもゴーギャン、ロートレック、マネやピサロやルノアールといった後に天才と称されるようなきら星のごとき画家がこぞって集まり時間を過ごしたと言われる、タンギーの絵の具屋さん。このタンギーさん、慈愛の精神が強い為、まだ売れない画家達に出世払いとしてタダ同然で絵の具を与える、だからまだ今は芽が出ていないが才能を持った画家達のたまり場となってたようだ。そんな天才達の集まってた空間を100年後の現在、僕は想像する。
自分の店にたまっては絵の具や画材を買うでもなくあーだこーだと絵の議論。金がないからいつかそのうち払う、と言っては絵の具をタダ同然で持って行くそんなどうしようもなかった彼らが100年後には天才と呼ばれている。自分の店にたむろする、当時は決して『天才』と世間から認められた訳ではない彼ら若い画家達の才能を信じ愛してたタンギーさん、さぞかし天国で鼻が高かろう!
タンギーは60歳を少し越えたご老人。僕はヒゲや髪を白くしもはや最近、お馴染みになりつつある老け役に挑む。
「(川村君)あれ?鎌倉さん?今度は執事の役ですか?」
そうそうそう。コレコレいけません!お嬢様!お父様に言い付けますぞっておーい!」
〜またその夜、ブラボーカンパニー事務所にて〜
「(ブラボーメンバー)なに?今度のお前の役って『藤村俊二』役?オヒョイさんなの?」


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